X1

 

FUKUOKAではASKAさんの変わらない歌声と美しいメロディーに魅了され、

さてX1はどんな曲なのだろうと、どきどきしながら歌詞に目を通してみた。

第一印象は、あれ?意外なほどに、ストレートな言葉。のように思える。

そして曲を聴いてみると、語り口調のメロディーが静かに展開していく。

何も見ずに聴いた夫が、最初に口にした感想はやはり歌詞のことだった。

なんだろうね、いや歌詞全体が壮大な比喩かもしれないよなんて話をした。

クロスワン。
と言ってみたけど、なかなか、まだしっくりこないな。

何度か聴いて、その後はまたSCENE IIIのループに戻っていった。

でもふと気付くと、このメロディーを口ずさんでいる。

そういえば、短いピアノのイントロが印象的だ。

音源を聴きながら、ピアノでイントロを弾いてみた。そのままメロディーも。

起伏の少ないメロディーが繰り返していく感じ、だったのだけど、

「それだけは、これだけは」

のところに来て、おや?となって止まってしまった。
なに、このたまらなく切ない感じ。

もう一回聴いてみる。

これだけは、のところ。
泣けちゃう。ていうか涙出ちゃった、どうして。

和音が、変わったんだ。

この和音はなんだろうって、私にはすぐに分からなくて、色々弾いてみた。

ここだけ、何回再生したかしら。

そして何度もピアノで弾いてみる。
切なすぎるー。

メロディーの波が淡々と繰り返していく中で、不意に予想外の波が来て足元をすくわれて、感情を激しく揺さぶられた、という感じ。

一度揺さぶられたら、その切なさがずーっと、曲全体に染み渡って聴こえてくる。

メロディーの繰り返しが、フレーズの繰り返しが、ここでいきてくるんだなぁ。

もう、ミクロで泣けて、今はこれでお腹いっぱい。時間が経てばまたきっと色んなことが聴こえてくるかな。

でも不思議。
この泣けたというのは、歌への共感やそこからの連想などとは切り離された、純粋に音楽的な要素からくるもの。

和音の変化で、何故感情が揺さぶられるのだろう。その時、心や身体では、何が起きているのだろう。

音楽のふしぎ。

ニューアルバム、楽しみだー。

言葉

 

言葉は、誰もが使えるものだけれど
上手く使いこなすのは難しい

音を出すだけなら出来ても
美しく奏でるのは難しい楽器のよう


ASKAさんの紡ぐ言葉が好き

愛を、誰もが知っていて
誰も使わない言葉で表現する

巧みな比喩で私達の想像力を駆り立て
物事の対比を鮮やかに描く

きっと考え抜かれた一言も
はじめからそこにいたかのように佇んでいる


でも、本当の素晴らしさは、レトリックだけではない

言葉は、投げかけた問いや思考、想い、
そして真の体験の結果だとしたら

私達の心が動かされるのは、ASKAさんの言葉から、
それらを深く、何度もくぐり抜けてきたことが伝わってくるから

その言葉が、ASKAさんの体温を持った
ASKAさんだけの言葉だと感じることが出来るから

そしてその言葉の、私達が気付いていなかった
深いところにある愛やせつなさに共鳴するから


心の芯から湧き出る言葉を、ありがとう

 

SCENE III

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2005.11.23 リリース

このアルバムは、実はこれまでそんなに聴いてこなかった。

何となく、手が伸びなくて、仕舞ったまま時が過ぎていた。My Game is ASKAは何度も何度も観ていたのだけれど。

でも発売された時は、はりきって3枚購入した。
山野楽器で、CDを買うとオリジナルのASKAさんメモ帳と、ASKAさんグッズに応募出来る抽選ハガキがもらえるから、それが欲しくて3枚買ったんだった。

ハガキに、「どうしてもASKAさんグッズが欲しくて3枚買いました!」って書いてたな。

今思うと、なんてお金の使い方を知らなかったんだ、私…。

でもそれでASKAさんの写真入りフォトフレームが当たって家に送られて来た時は、飛び上がって喜んだな。きゃーーーわぁーーーーいかっこいーーー♡って。

それから11年、私は一体何回このアルバムを聴くことがあっただろう。

去年の年末、good timeが聴きたくなって、YouTubeで何度も聴いた。

そのうちに、CDでも聴いてみようと思って久々に取り出してみた。

アルバムを通して聴いて、散文詩と歌詞を読んで、はっとした。

この作品のテーマが、"loop"であること、一曲一曲にそのコンセプトが込められていることに、その時初めて気が付いた。

birthに始まり、背中で聞こえるユーモレスクに向かい、そしてloopの曲がここにあることの意味に、11年経って初めて気が付いた。

聴いていたようで、通り過ぎてたんだ。

会報を見返してみたら、「曲をつないだときに、きれいな円になっているような」アルバムを意識している、というコメントがあった。

ここでも、通り過ぎていたんだな、私。

でも、やっと気が付けて、良かった。
そしてそれは、時間だけが理由ではなくて、色々なことが絡み合って、影響しあっての結果。

人は、生きている間にも、輪廻を繰り返しているんだなと感じさせてくれる素晴らしい作品。

11年分、聴いてみよう。

WAVE

 

子供が寝静まり返った真っ暗闇の寝室で、音楽を聴いていた

PRIDEがかかった時、急に昔の光景が蘇った

小学生だった私が、レコードショップへの道を歩き、二人のCDを買いにせっせと通った日々

新譜を買う時は違うところに行ったけれど、
このお店には旧譜がたくさん置いてあったから、ここに来た

家から子供の足で歩いてきっと15分位
真っ黒にそびえ立つビルの中は、ちょっとした異空間で、オトナの雰囲気が漂っていた

他のレコードショップとは違うものを子供ながらに感じて、
ここでCDを買うのは特別なことな気がしていた

PRIDEのアルバムもここで買ったんだった
分厚いブックレットを何度も読んで、歌詞を追いながら曲を聴いた

二人が折に触れて「若いファンの子は、まだ歌詞の意味が分からないかもしれない」

ということを言うと、私は、全然、分かってるのに、と思っていた

書かれている日本語を日本語として理解しているだけだったと気付いたのは、ずっと後になってからだった

WAVEはやがて閉店となり、あの黒いビルはなくなって、街はすっかり姿を変えた
私も住むところが変わり、訪れることも少なくなった

故郷だなんて、思ったこともなかったけれど、
やっぱり、あの街で育ったんだな

大人になっていくほどに、経験を重ねるほどに、二人の音楽の聴こえ方が、変わっていった

それが、今も続いているなんて

ありがとう

good time

 

ひらがなを漢字に変換するように、
心を言葉に変換出来たら良いのに

心の中を、言葉で正確に表現するのはとてもむつかしい

音楽を創り出すことなど到底出来そうにない私は、いつも思う

音楽と言葉では、どちらが心を上手く表現出来るのだろう

でも、切ない夕陽は、このメロディだからこそより切なく感じられるし、

このリズムに心地良く揺られていると、抱き合う二人の鼓動が聞こえてくる気がする

ASKAさんの歌声と楽器が奏でる美しいハーモニーが、恋人達が味わう今この瞬間と、遠くに想いを馳せる時の壮大さを感じさせてくれる

言葉と、メロディーと、楽器と、リズムと、歌声

全てが調和して、心を揺さぶる

そんな調和を、創り出している

8分音符の波に揺られながら、
私も次を思い出してみたくなった

贅沢なひと時に、ありがとう

気持ち

 

音楽を教えてくれてありがとう

言葉について考えさせてくれてありがとう

生きることが続いて行くことの意味を教えてくれてありがとう

みんな、あの出来事があったからこそ、
深く知ることが出来た

信じることも、信じないことも、必要ない
ただ、ありのままを受け入れるだけ

ASKAさんが生み出す音楽を今日も
こうして聴けることに、感謝するだけ