6年後のnot at all

4月のその日は、この時期にしては暑いくらいの陽気だった。自粛生活が続き、スーパーとドラッグストアと公園ぐらいしか行くことのない毎日。


リビングから上の部屋へ行こうと階段を数段登ったところで急に、胸が締め付けられるせつなさのようものが前触れもなく込み上げた。


これは一体なんだろう?

 


しばらく立ち止まって、まもなく思い当たった。
昨日、あの公園に子供と行ったんだった。


6年前の5月17日、ASKAさんのニュースを聞くことになる直前に、娘とブランコを揺らしていた公園。あの日も夏のような陽気だった。


公園でお友達とけらけら笑いながら遊んだ後、家族で昼食を取りに入ったお店のテレビでニュース速報を聞き、言葉を失った。


前日行った時は、そんなこと何も思い出していなかったのに。

 

季節を感じることも忘れてしまうくらい代わり映えのない日々を送っているのに、こんな風に、またあの日がやって来ることを思い出すなんて。

 


毎年この時期になると、あの出来事を思い出す瞬間がやってくる。

 

衝撃的であったし、悲しかったし、何よりASKAさんはどこまで遠くに行ってしまったのだろうというやり場のない気持ちが日々膨らんで、今思うとどうしてそんなにっていうくらい涙が枯れなかった。

 

 

もうあれから6年も経ったんだ。

 

今、ここに立って思うことは、出来事のディテールは、もはやすっかり重要なことではないということ。

だけれど私の心のありようは、その出来事によって以前とは異なる様になったということ。

全ての起きたことは、私にとって必要なものであったということ。

 

あの時私達は、どんな想いであの出来事をくぐり抜けていったのだろう。

 

 

ふと気になってきて、一度読んだきりほとんど読み返すことのなかった、第一巻と第二巻・第三巻を少しずつ読み返してみることにした。


書籍になった第一巻を読んだ時の当時の感想は、正直に言えば、純粋な読書体験として決して心地良いものではなかった。

書籍として世に出すことが、ASKAさん自身のために必要な行いであり、意義があるということを理解できたことが、唯一の救いだった。


当初この第一巻のブログをネットで読んだ時、気になる言葉があった。


「今、振り返れば、私はあの日逮捕されてよかったのだと思っている。」と綴る一方で、

「しかし、すべてを失ってしまったこの状況下では、さすがに感謝という言葉はまだ使えない自分がどこかにいる。」

 

そうASKAさんは吐露していた。

 

今はまだそういう心境なのか。その気持ちはこれから変化していくのだろうか。

 

ASKAさんの新しい歩みを応援しながらも、そのことがずっとどこかで気になっていた。

 

 

アルバムToo Many Peopleリリース時のインタビューでASKAさんは、音楽をできること、そして仲間への感謝を言葉にしていた。

事件そのものが今のASKAさんにとってどういう意味を持つのか、聞いてみたいと思った。

 

アルバムリリースまでの道のりは険しくて、今思い返してもどうしてと思うような出来事が起きた。もうASKAさんに会えないのかもしれないと思う時もあった。

 

それでもASKAさんは再び、ステージに戻ってきてくれた。

 

あれらの出来事は、ASKAさんにとってどんな意味をもたらしたのだろう。

ASKAさんは今、どんな想いで歌に向かっているのだろう。

 

変わらぬ姿で歌うASKAさんを見届けながら、そんなことを考えた。

 

 

そして去年の年末、ASKAさんがインタビューでこのように語っている記事をふいに見つけた。

 

「自分の起こしてしまった事実は、変えられない。ただ、あの経験があったからこそ、見える景色が新鮮に感じられる」

 

この言葉は、離れたところから眺めている人にとってはもしかしたら誤解の生まれる表現なのかもしれない。

 

でも私にとっては、あの第一巻でのASKAさんの言葉を目にしてからずっと気にかかっていた私にとっては、この言葉が聞けて、そのような想いでいることを知ることが出来て、本当に嬉しかった。

 

そして願わくば、ASKAさんの大切な人達にとっても、あの出来事が意味を見出せるものであってほしい、そうなっていてほしいと心から思った。

 

 

あの出来事があったからこそ、得られたもの。

 

私にとってのそれは、つまるところ、"すべては自分"であり、"愛に近づくman and woman"だということ。

 

それらを得難い体験を持って学ぶことが出来たということ。

 

あの出来事がなかったら、私はきっとASKAさんの生み出す楽曲のほんの少しも感じることが出来ないまま、聴いた気になって過ごしていたのだと思う。

 

ASKAさんとその出来事や楽曲を通じて、自分の内面を見つめるという行いにもきっと至らなかったと思う。

 

その経験をするのは私であったかもしれない。私と他者の境界線を超えて、物事を見つめ、感じるということ。出来事ひとつひとつが、それを私に教えてくれる機会となった。

 

 

この季節は、きっと毎年そんなことを考える。

 

そして私はnot at allを聴きながら、少しずつ違って見えてくる景色を感じ取りながら、これからも同じことを思う。

 

 

おかえりなさい

 

歌い続けてくれて、ありがとう

 

 

 

 

頬をつねる話

(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)

 

 

 

2月9日。

hiroさんが参加されている優美塾の写真展のお誘いを頂いていたので、家族で伺うことにした。


さらに、この日の神奈川県民ホールのチケットを余分に取られてしまったということで、hiroさんから夫に譲って頂けることになった。本当は私が行きたかったんだけどね!


「それはいくらなんでも行きすぎだろう」と夫に苦言を呈されたので、じゃあ自分が行ったらどうかと提案してみたら、「それなら行く」と。たまにはそれもいいか。

 

目黒区美術館に到着して、hiroさんとの再会を喜び、展示をご案内頂いた。


そのうち娘も打ち解けてきて、福岡での写真展でhiroさんがASKAさんに遭遇した時の写真や動画を一緒に見せて頂いた。「ASKAさんが動いてる!」と娘は興味津々。


そして「福岡にはASKAさんが来たのに、どうして今日は来てないの?」と子供らしく尋ねる。


「そうねー、ASKAさん今日はライブがあるからね。今頃練習してるよきっと。」と私達は笑いながら言った。

 

しかしその後、何が起きたか。

 


本物のASKAさんが、現れた。

 


私が一通り見終えたところでお手洗いに行って戻ったら、会場が何やらただならぬ雰囲気で、hiroさんが「ASKAさんが来ている」と言う。


えーー!どこどこ、あぁあの方かしら、きっとそうね、でもあれは本当にASKAさん?

目の前の現実を上手く認識出来ない。娘は、「これ絶対夢だよ」と言って自分の頬をつねっている。


とりあえず覚えているのは、「ASKAさーん!」と駆け寄って手を差し出したら、ASKAさんが、右手を私に差し出してくれた…。


わーーー。

ASKAさんの、手を握ってる!!

しかも、つるんとしてるー!


もう胸がいっぱいで、何にも言えない。

 

ある時娘に「もしASKAさんに会ったら何ていうの?」と聞かれて以来、ずっとその時を妄想していたけれど、まるで役に立たなかった。


でもそれ以上に、出会えただけで幸せだー。

 

 

それにしても、普通の人ではないオーラが漂っている。

その上、マスクをしていてもカッコいい。どういうこと。

時折ASKAさんに写真の説明をされるhiroさんはずっと、少女の瞳でASKAさんを見つめている。こんな光景が目の前で繰り広げられる時が来るなんて。

 

会場の写真を一周鑑賞され、ASKAさんがご挨拶して会場を後にする。「ASKAさんまたねー」と手を振ったら、手を振り返してくれた。夫が「今日行きます!」と声をかけたら返事してくれた。嬉し過ぎる。


hiroさんと感激のハグをして私達も別れの挨拶をする。今夜のライブは1列目だそう。なんていうミラクル。

 

 

帰り道、夫が「いやー、僕の支度が遅くなったおかげでASKAさんに会えたね、良かったね」と笑いながら言う。

「でもこれって偶然かな?それとも必然?」

私が言うと、「それは偶然でしょ」と間髪入れずに返された。  

 

不思議。私は最近、ここに文章を書きながら感じていたことがあった。

書くごとに色々なものを少しづつ手繰り寄せていて、そこに向かうエネルギーが然るべき形で、現実に反映される時が来るような気がしていた。

ライブ前のオープニングムービーで、ライブに向けて準備する二人がいて、やがて本物がステージに登場するみたいな、あれはなんだっけ。そのような感じで物事が展開していくような感覚があった。

それはあまりに突然で、予期せぬタイミングだったけれど。あぁ本当にこの時が来たんだなぁって、感慨深くASKAさんが私の目の前にいる景色を眺めてしまった。

 

hiroさんと私の間には驚くほどたくさんの共通点があって、今日も私達が互いに左利きであることを発見し、また一つ共通点が増えた。

素敵なご縁を繋いでくださっているのは、きっと偶然ではないんだろうなと思う。

 

 


夕方、ライブに向かう夫と別れる。いいないいなーいってらっしゃい。


帰宅すると、一息つく間も無く夫が感想を語り始めた。

higher ground 最高だったよ!やっぱりライブはいいねー。BIG TREEで拳作って熱唱しちゃったよ。」

恐らくは2013年1月のROCKETツアー振りにASKAさんのライブに行った夫が、興奮冷めやらぬ様子で話す。

「あとRomiちゃんがビルボーが綺麗って言うから、俺もVixen(双眼鏡)でマジマジと見てきたよ。本当にみんな綺麗な人達だねぇ。」

俺のお気に入りはバイオリンのあの子とチェロのあの子。Vixen役に立ったよありがとうだって。いえどういたしまして。

「…それで、どの曲が良かった?」

「やっぱりPRIDEが一番良かったけど、いやー、あの曲良かったね…Be free。」

「だよねー!!どこが良かったの」

「あれはやっぱりASKAさんが苦悩の中で作った曲だと思うよ。それが伝わってきたね」

「泣けたー?」

「Be freeも泣けたし、あとあれ、意外にしゃぼんも良かったね。情景が湧いてきた」

「そうなんだねー、しゃぼんいいよね。私はこの曲でめちゃくちゃ泣けちゃったよ」

「あと聴いたことない曲があったけどカッコよかったなぁ」

百花繚乱と修羅を行くのことらしい。また来月のアルバムで!

「good timeはどうだった?私あの曲好きなの」

「good time?あぁー。あれは…歌詞はいいよね。…その言葉が残ればいい」

歌詞はいい?ふーん、そうなんだ。

「あとはけれど空は青が聴きたかったなあ」

「好きだよねーその曲。あ、今が一番いいではバンザイした?」

「そりゃするよ!あれはやっぱりライブでやるといいよね」


あはは、そうかー。

私の感想は専ら私の中で消化していたけれど、こうやって共有してみるのも楽しい。

 

 

そして私はまた娘に何度も話す。

「ねぇ、今日誰に会った?」 

「だから、ASKAさんでしょ」

ASKAさんに会ったよねー!本当に会ったよね?」

「つねってみな」

 

つねってみたら、やっぱり夢じゃない。

幸せー。

ASKAさんの音楽を聴く理由

久々に結構な雨が降った朝。
駅まで自転車で行くのはやめて、歩くことにした。

今日は少し長く音楽を聴ける。わくわく。
何にしようかな。
雨の朝に気分を上げていける曲がいい。


玄関を出てかけた曲は、Bon Joviの"It's my life"。

カッコ良すぎるー。
ビートがいい。ジョンの歌い方もしびれる。

続いて"Livin' On A Prayer"。
この曲、何が好きってベースラインが最高。

ビートを刻みながら、こんなにメロディアスな旋律を弾いてるって、ベースってずるい!カッコいい!

そういえばASKAさんが以前に「Bon Joviみたいな曲が出来た」って書いていた気がするけど、どの曲なんだろう。気になるー。


歩きながらすっかり楽しくなってきた。
次は何を聴こう。

決めた。"A Sky Full of Stars"。
ColdplayとAviciiのコラボ曲。

ColdplayもEDMもAviciiも大好きな私にとって、気分を上げたい時のキラーチューンとして真っ先に候補に挙がる一曲。

この曲はなんだろう、とてもシンプルな曲なのだけど、気持ちがどんどん高揚して最高の気分になってくる。


それにしてもAvicii、どうして逝ってしまったのよう。

ちょっと恋しくなって、Aviciiの"Without You"を聴き、その後は彼の曲を聴きながら会社に着いた。



帰り道は、邦楽を聴くことにした。

久々に宇多田ヒカルが聴きたい気分になって、何曲か聴いた。ヒッキーのリズム感や言葉の使い方って本当にすごいなって思う。

それから華原朋美の"I'm Proud"を。
高校生の時からずっと聴き続けている大好きな曲。

起伏に富んだメロディは、切なさの中にも力強さがある。澄んだピアノとストリングスが印象的な、クラシカルな雰囲気の壮大なバラード。なのにリズムはしっかり4つ打ちダンスビート!かっこよすぎる、TK!!

そしてこのともちゃんのボーカルに小室さんのハモりが乗るのが、何度聴いてもきゅんとしてしまう。


TKの曲をもっと聴きたくなったので、次はglobeの"DEPARTURES"。

この曲、サビ直前のドラムの入り方が、1回目から3回目までで全部違う。だんだん高揚感が増すように激しくなっている、ということにある時気が付いて、TKすごい!って一人エキサイトした。

小室さん元気かなー。TK Music、また聴きたい。


今日は雨のおかげで音楽を楽しめた。
うん、音楽って楽しい。





夜、寝る前の寝室でASKAさんの曲を聴いた。

シャッフル再生で、「心に花の咲くほうへ」「good time」「信じることが楽さ」が流れた。

なんて素敵な選曲なの。しみじみと聴き入る。


そして聴きながら考えた。

日々色々な音楽を聴くけれど、何故私はASKAさんの音楽をずっと聴き続けているのだろう。

他の音楽とは、少し違う聴き方をしているような気もする。


私にとってASKAさんの音楽は、どんな意味を持つのだろう。

ここに何かを書きたいと思えるほどの理由は、どこにあるのだろう?



数日考えてみて思ったこと。

そもそもどうして、そのような疑問が私の中に生まれるのか。


「私は何故、ASKAさんの音楽を聴きたいのか?」


もしかしたら、このようなことを考えてしまうこと自体が答えなのかもしれない。

私の中に問いが生まれる音楽。



本を読んでいるとそのうち、著者と対話しているかのような気持ちになることがある。

私はそれに似たものを、ASKAさんの歌にも感じているような気がする。

聴いていると、私の中にたくさんの問いが生まれて、それについてもっと考えたくなる。

深く沈んでは浮かび上がることを繰り返しているうちにふと、はっとする瞬間が訪れて、それと同時に新たな問いが生まれる。

ASKAさんも同じ問いを持っただろうか。心の中で対話する。そしてまた聴いてみる。




ASKAさんはこう歌った。


「言葉じゃそれほど伝わらないのに
黙っていれば伝わることもある」


黙っていれば伝わる、とは一体どういうことなのだろうと、この曲を初めて聴いた時からずっと考えていた。


言葉では伝えきれないことがある。
でももし、私達に言葉が存在しなかったら?

きっと、伝えられることは限られている。


言葉にすると失われてしまうものや、言葉に出来ない想い。

それらは、逆説的だけれど、言葉があるからこそ
その存在を浮かび上がらせることが出来るのではないか。


言葉がないところには、行間や余白は生まれない。

ASKAさんは、メロディをまとった言葉でそれらを立体的に描く。

その歌はきわめて双方向的な形で私に作用して、私の中に問いと対話を生み出す。それについて、言葉で表現してみたいという気持ちになる。



私達は、言葉でどれくらいのことを伝えられるのだろう。

とてもちっぽけなことかもしれない。


でもASKAさんの歌を聴いていると、

「言葉の力を信じる」という気持ちになれる。

言葉が心を超える瞬間に、連れて行ってくれる。



私にとってASKAさんの歌は、たぶんそういう存在。






とはいえ。

ASKAさんの何がそんなに好きなの?」って毎度不機嫌そうに聞く娘には、

「えっとー。まず声が好きでしょ。それからかっこよくて、お茶目で、ネクタイが似合うの。特に水玉ね!そしていい歌うたうんだよねぇ。」

と答える私。あー愉快。大人しくあいみょん聴いてなよ。


さあ来週はいよいよ東京文化会館
どうしよう。

2020.1.15 LINE CUBE SHIBUYA ASKA premium ensemble consert -higher ground-

(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)




「えっ、この間行ったばかりなのにまたASKAさん行くの?そんなに好きなの?」

最近何故かいつもぷんぷんしている8才の娘に言われてしまった。そうなのもちろん行ってくるよー。
1月15日、朝の会話。


先日の国際フォーラムに続いて、今日はLINE CUBE SHIBUYAに向かう。

ASKAさんのライブをこの会場で観るのって初めてだな、新鮮。仕事を終えて、山手線を今日は反対方面に乗って会場へ向かう。

渋谷は、今ではめったに訪れることがない街になった。公園通りを上りながら、こんなところにアップルストアが出来たんだとか、タコベルがある!と驚きながら歩いた。


PARCOの前に来た時、ふと立ち止まって見上げた。

すっかり姿が変わってしまったけど、昔ここでCHAGE&ASKAのライブ映像上映とパネル展示があったなぁと懐かしく思い出した。1992年12月のCONCERT MOVIE GUYS。

27年も前か。私の生活や一緒に暮らす人、取り巻く環境はその時とはすっかり変わったのに、こうして今もASKAさんのライブに向かっていることが、とても不思議なことに思えてくる。


歩きながら、今日の私は、先週とはライブを迎える心のあり方が違うことに気が付いた。

心がcan do now的にチューニングされていて、始まる前からなんだか泣いてしまいそう。どうしてかな。


LINE CUBE SHIBUYAに到着。リニューアルしたてで綺麗な会場だ。

今日は2階席か、と思いながら席に向かうと、思いの外ステージ全体が見渡せていい感じ。


18:30の定刻になり、開演。

バンドメンバーとビルボーが登場し、ASKAさんが現れる。

We Love Musicのコーラス演奏後、ASKAさん達による宇宙人コーラス。

「ナントカナントカ~、ヨウコソ~、ナントカナントカ~」

やっぱりわかんないよ!笑


そしてオープニング曲、『僕はMusic』。

ASKAさんが歌い出す姿を見ただけでうわーって涙。なんでだー。

前回ちゃんと観てなかったけど、バイオリンギターが素敵に似合ってる。


『Hello』はやっぱりストリングスが綺麗で、でも今日はもっぱらASKAさんの歌にただ泣ける。

前回は多分軽い気持ちで聴いてた『天気予報の恋人』も何故か涙が止まらない。私の心が夕焼けてくよ。


ASKAさん「今日は早めに終われと言われていまして。」
会場から「えーー」という不満の声。

「いやほんと、最近延びてるのよ。色々思うところあって、しめていこうと思っています。では次の曲。」


『Fellows』
ASKAさんの赤いギターがとても映える。

また涙しちゃう。歌っている姿にただ泣ける。

この曲が良いのはもちろんなのだけど、今のASKAさんにすごくハマる感じのこの感覚、なんだろうな。

今日はASKAさん以外を見渡す余裕がない、そういう気持ちだったのだけど、ふとベースの音が耳に入ってきて、めちゃくちゃかっこよかった。

以前はトキの赤ちゃんだったと記憶しているけれど、今はワンコ系らしい、メッケンさん。


『修羅を行く』
前回よりも歌詞に意識を向けて聴いてみた。戦車な勇気で修羅を行く…カッコいい。

曲の途中でマイクを落としてしまうアクシデントがあったけれど、それさえも拍手が起きていた。


そして『しゃぼん』。
今日のASKAさん、一体どうしちゃったんだろうという位、歌い出しから熱量がすごかった。

ASKAさんの歌う姿がとても切なくて、寂しくて、それでいて官能的で。身体中から感情が溢れ出していた。
初めからそんなじゃ、涙、止まらなくなっちゃうよ。

Too Many People発表以来、私にとってこの曲は、アルバム中最も聴くことのない曲だった。
どうしても向き合うことが出来なくて、自分から聴くことはほぼなかった。

ASKAさんがこんなにも生の感情を歌で吐露するということを、多分私は受け止められなかったんだと思う。

でも今夜のASKAさんのしゃぼんを聴いて、私はこの3年間、Too Many Peopleの一体何を聴いていたんだろうという気持ちになった。

ASKAさんが魂を込めて歌う姿を観て、私がそこに心を向けることで、それにより楽曲の存在がこんなにも一変することがこれまであっただろうか。

心が震えて、この歌に一体化していく自分を感じた。

伝わるって、こういうことなんだ。

ASKAさんも最後、目頭を押さえているように見えて、ますます泣けてしまった。


「座っていいよ」
しゃぼんが終わり、ASKAさんが観客を促す。

「…10年後、歌っているとは思うんだけど…想像すると怖くない?」
観客から「えー」という声。ASKAさん、さらっと言ったけど。そんな。

「いやこれ独り言だから。入って来ないで!…お客さん?!」

「ソロアーティストとして活動しているわけですが、二人だからやれたこと、二人だからこそやれなかったことがある。でもそんなことに神経を尖らせず、やりたいことをやっていこうと思っています。」

「ソロになって初めて出した曲は…MIDNIGHT 2 CALLだっけ、MY Mr.LONELY HEART、どっちだったっけ、お客さん?はい、MY Mr.LONELY HEART?MIDNIGHT 2 CALL?あぁそう?その後これを作って、売れた曲です」


『はじまりはいつも雨』
何度も演奏されているこの曲だけれど、今日はちょっと高いところから、俯瞰する気持ちで聴いてみた。

ずっと歌い継がれていく歌になるんだろうな。

美しい旋律を奏でるストリングが、ステージに素敵な景色を作っている。

ビルボーの方達は、今日どんな気持ちでこのステージに向かっているのだろう。この空間を一緒に作ってくれていることに、只々感謝。


『good time』
今日のgood timeは、この間より一層深みを増して伝わってくるように感じられた。

ASKAさんが、とても丁寧に言葉を紡いで歌っている気がして。それは、私がそのように心を向けて聴くことが出来たから、ということかもしれないけれど。

幸せすぎて、やっぱりなみだが出ちゃう。

温かな拍手で歌い終える。


「good timeという曲をやりました。あれを出したのは2000年だったかな。もう20年経つんだね。これを出した時…あんまり反応なかったんだよね。」と会場の笑いを誘うASKAさん。

「みなさんに選んで頂く曲と僕が選んだ曲でベストアルバムを作りまして。あれは確か13曲あったよね。ね、お客さん?それでこの曲は、絶対選ばれないと思ってたんですけど…選ばれませんでした。…お客さん?」

「でも13曲のちょっと下で、あと少しのところで選ばれなかったんです!僕が選ぶ曲の時に、選んでおいても良かったかなと思うのですが…Cryをどうしても入れたいということで。」

good timeは、Cryに負けたのかーー!!

でもでも、ASKAさんの想いの片鱗を聞くことができて嬉しい。

私はもちろん投票の時にgood timeを書いたけれど、この曲の居場所がなくなってしまったような想いがずっとあったから。

2000年にこの曲が発売された時、私はCHAGE&ASKAから離れていて、リアルタイムでは聴いていなかった。

SCENE IIIで聴いて、後に大好きになった。この曲のインストを聴けたら良いのにってずっと思っていたら、実はシングル時にインストも発表していたことを知り、どうしても聴きたくて中古CDを購入した。

この曲の素晴らしさが、もっともっと広まっていきますように。幸せな名曲は、いつだって蘇る。


この曲ができたエピソードからの、『帰宅』。

国際フォーラムではふつうに聴いていたのだけど、今日はもうずっと涙。

先日のブログで言葉にしていく過程できっと、心の中を深く下っていって、感じ取れるようになったのかもしれない。


『RED HILL』
ASKAさんに安定はない。その生き様が曲同様にかっこいい。


『歌になりたい』
今日はすぐにスマホを取り出せるようにして、ライトをオン。

みんなの光がゆらゆら揺れて、この歌への祝福のようだった。

でもなんだか今日は…ほんとうに涙・涙で、途中から揺らせなくなってしまった。

「僕らは命の中にいる 時を超えても命の中にいる」

聴いていたらだんだん、この歌そのものが命を持っているような気がしてきて。

歌が意思を持って歩き出すような、そういう気持ち。

ずっとずっと、続いていってほしい。
そしていつかまた、出会えますように。


ー メンバー紹介 ー
ワンコ系のメッケンと紹介してハイジの真似をしたり、ドラ沼孝三と言ってしまったり、90年の付き合いのチカちゃんと紹介してみたり。楽しいよー。

ASKAバンドは今日も最高。素敵な人たち。


ー 休憩 ー
ASKAさん「ほら、俺たち付き合い長いでしょ。…近いでしょ?今のうち行って来て!」
は、はい。

女性「オリンピックのチケット取れたー!」
ASKAさん「それ質問?報告?」
女性「報告ー!」
ASKAさん「イヤミだねぇ。俺は取れなかったんだよ!!」

男性「男だけのライブやるー?」
ASKAさん「やろうやろう!」

男性「今日日帰り出張で、福岡に行って来ました!」
ASKAさん「福岡、そうかー!で質問はなに?(ズコって感じで膝をつく)」
男性「FUKUOKAを歌ってください!」
ASKAさん「♪FUKUOKA~はい終わり!」

男性「ASKAさんの誕生日の次の日に、嫁に子供が生まれます!」
ASKAさん「そうなの?それで奥さんは一緒に来ているの?」
ASKAさん、前においでよとご夫婦を呼び、奥様のおなかをスリスリ。

奥様、感激で両手で顔を覆ってた。わー素敵。
なんだろう、愛を感じちゃう。ラブがいっぱいの空間。

今日もスタッフの耳打ちにより休憩終了。

終了間際、前列の席に戻ってきた男性に「漬物でも持って来るのかと思ったよ」とかなんとか。
漬物?? よくわからないけど!ASKAさんて、面白い。


SHUUBIさんがステージ中央に出てきて、ASKAさんと向かい合って椅子に座り、『you & me』を歌う。

SHUUBIさんにも、ASKAさんにも、そして観客のみんなにも、きっとここに来るまで色んなことがあって。辛かったこと、泣けてしまうこと、いっぱいあったと思う。

でもそれを全部包み込んで、愛に変えちゃう。そういう歌だった。歌が持つ癒しの力ってあるんだな。


『HEART』、『百花繚乱』、『higher ground』、『青春の鼓動』
後半、どんどんボルテージが上がっていく。


そして、『今がいちばんいい』。

この曲を私がライブで聴くのは多分6回目だと思うのだけれど、私はこの夜初めて、みんなと万歳して、一緒に歌うことができた。

やっとやっと、突き抜けられた。

Black & Whiteで最初にこの曲を聴いた時の印象は、率直に言うと、「え、なにこれ…?」だった。

曲も詩も一体どう受け止めたらいいのか、本当に分からなくて、「ライブで盛り上がることになる曲」とASKAさんがブログで書いているのを読んでも、私にはイメージがわかなかった。

何より思ったのは、私の敬愛するあの"哲学のASKAさん"はどこへ行ってしまったの?という気持ちだった。

同時に思い出していたのは、アルバムSCRAMBLEリリースの時にASKAさんが語っていたこの言葉。

「歳をとるといろんな部分が幅広く見えてくるから、そこで最後に使うのは、シンプルさ。僕はまだそこには行っていない。わかりやすく聴かせる、童謡が持つよさの域にはまだ行っていない」

当時、「童謡の域って一体どんなだろう?」って結構な驚きを持ってこの言葉を私は受け止めていた。

ポップスとは分かりやすさであり、共有できるもの。
事件を機に新たに聴き始めた人や、若い世代も多くいて、そういうリスナーに向けて、シンプルな言葉とメロディで表現する。

きっとそういうことなのだろう、ASKAさんはとうとうその域に達したのだと頭では理解したのだけど、どうしてもその中へ入って行けない自分がいた。


でもこの夜のライブに参加していて、この曲が聴こえてきた瞬間、
もうそんなこと、どうだっていいじゃん!!
って心から思えてしまった。

だって僕はMusicで、歌になりたいんだから!

私が一方的に何かを期待したとしても、ASKAさんは今もアップデートし続けている。

やっぱりASKAさんは、何歩も先を歩いているんだな。

私にとって、この夜は記録的な解放の日になった。


「3月20日にニューアルバムをリリースします。タイトルは、Breath of Blessと言います。
じゅうごきょく入りです(大分噛む。観客があちこちで、「15曲だって」と説明している)」

「Too Many PeopleとBlack & Whiteをリリースしてきました。Too Many Peopleで、この曲は絶対入れなくてはいけない、絶対歌わないといけないと思った曲があります。その曲を歌います。今日は本当にありがとう」


『Be free』
ライブでの曲のあり方って、観客の持つ気によって全く変わってくるんだろうなって、聴きながら思った。Be freeはこれから、まだまだ変化していくのだろうな。

私にとって、これからも大切に歌い続けてほしい楽曲。


『We Love Music』
早く聴きたいなーこの曲!ワールドワイドな感じがすごく好き。


ー アンコール ー
『一度きりの笑顔』
『PRIDE』
『BIG TREE』

『一度きりの笑顔』の切なさにとめどなく涙が出てきて、『PRIDE』でどわっと感情が溢れ、『BIG TREE』で異空間に突入。最高の気分!!




ライブが終わったら、しばらく放心状態で、現実世界に上手く戻れなかった。

人混みの渋谷の街を駅に向かいながら、幸せな気持ちに浸っていた。


そういえば今日は、CHAGEちゃんを思い出す間がなかった。


この間のライブとなぜこんなにも感じ方が違ったのだろう。

ASKAさんの発するエネルギーと、観客の気があって。そしてそこに私が心と意識をどう向けるか。
それによって、全く別次元の体験になり得る。

幸せは与えられた条件によって決まるものではなくて、ひとえにそれを感じ取れるかどうかなんだな。
それならいつだって感じていたい。

音楽で、ASKAさんの歌で、こんなに幸せになれるなんて、私今まで本当に知らなかったかもしれない。


そして、しゃぼん。
この曲が、今までになく自分の中に響いたことに驚いた。

私はとても不完全な人間で、欠落している部分がたくさんあると思う。
今夜、ASKAさんの歌が私に降り注いで、欠けたところを満たしてくれたような気がする。


でも、矛盾している。


深く伝わったと感じるほど、より一層寂しさを感じてしまうのはなぜなんだろう。

感情をひどく揺さぶって、溢れ出す涙を生むこの寂しさの正体は一体なんなんだろう。

ライブの翌日も、その次の日も、しゃぼんを聴いていたら、ASKAさんのあの姿が蘇って何度も泣けてしまった。


そのうちに、ふっと浮かんだ想い。

いつか思い出と共に生きることになった時に、この寂しさが、私を大切なところへ繋いでくれるのかもしれない。

そんな風に思えた。




ライブの夜、家に帰って、
「もー帰り道に幸せ過ぎて、ママこのまま死んじゃうかもと思った」
と娘に言ったら、フンって顔で、

「もう、ママってそんなにASKAさんが命に関わるの?」
何故かキレ気味に言い放った。

そうなの、ママの命のあり方に関わるの!!
と答えたけど、聞くでもなくどこかへ行ってしまった。コワい二年生。


でも、なんというか…

私も、何もかもが楽しい。

ダダ洩れの幸せ空間を、ありがとう!

2019.1.9 東京国際フォーラム ASKA premium ensemble consert -higher ground-

(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)




1月9日。今日はライブの日だー。

早朝、洗面所で身支度をする傍ら、スマホで音楽を聴くことにする。ASKAさんの曲をシャッフル再生したら、最初にかかったのは「僕はMusic」だった。

この曲大好きだな、何度聴いてもわくわくする。4つ打ちビートがたまらない。ライブで聴きたいなぁ。隣にはどうしてもCHAGEちゃんが思い浮かんでしまうのだけれど。

次の曲。そうだ、あれが聴きたい。
「Be free」をかけた。
この曲は本当に…名曲だと思う。
前回のツアーでは披露されなかったけれど、今回はどうだろうか。


そんなことを考えながら、支度をしてパンを頬張り、子供を保育園に預けて会社に向かった。

16時00分に仕事を終わらせ、16時01分に、「お先に失礼しまーすうふふふ」てな感じで国際フォーラムに直行。

夫は会社を早退して保育園に子供を迎えに行ってくれた。私はASKAさんに会いに行くというのに!ありがとう夫。

発熱ASKAさんの体調は万全なのだろうか、心配しながらも、会場に近付くにつれてライブへの期待が高まって来る。


会場に到着した頃、思いがけず連絡を頂いた。
以前、このブログを通じて出会ったhiroさん。今日のライブにいらっしゃると言う。

ぜひお会いしましょうということになって、会場近くで再会した。

一昨年の12月、初めて国際フォーラムでお会いしたhiroさんは、とても素敵な女性で、私を温かく受け入れてくださった。ブログを読んで頂けているだけでもありがたいのに、こんなご縁に心から感謝した。

hiroさんと暫しASKAさんの話に花を咲かせた。夏には北海道のライブに行かれ、剣道の試合も観に行き、福岡の写真展ではなんと生ASKAさんにお会いされたという話を聞いて、テンションが上がる。


会場に入り、開演を待つ。
今日も男の人が本当にたくさん来ている。

定刻になり会場の照明が落ちる。いよいよだ。

まずはストリングスの方達が登場。
そしてASKAさんバンドに続き、ASKAさんがステージに現れる。

この日は黒のスーツに、ナロータイをゆるっと着けたスタイル。

何から始まるのかしら、わくわく。

すると「ナントカナントカ~ヨウコソ~」というエフェクトがかかったコーラス。
え、なになによくわからなかった!でもこれはきっとELO的なあれね!


一曲目。このイントロはなんだろう。

なんと、「僕はMusic」だー!
今朝私が一日の始まりに聴いた曲がオープニングだったとは、嬉しい。

この曲を聴くとやはり思い出すのは、慶応大学の文化祭。あれは2004年、15年も前なのか。懐かしいなぁ。

あの頃の私にとってこの曲は、キャッチーなサウンドを不思議な言葉で歌っている曲、という印象だった。

でも後になって聴いているうちに、この曲は私に、"Everything and anything is all right."というメッセージをくれる曲になった。なんだって、全部ありなんだ。

昨日のまちがいも今日のAllright。
だって僕はMusic!響きあえるって素晴らしい。

生の言葉ではなかなか伝わらないことも、歌にすると伝わってしまうのってなんでだろうな。


「またせたね~!」の一言と共に、「Hello」のイントロ。ストリングスが引き立って素敵。

天気予報の恋人」を終えて、ASKAさんがこう切り出す。

「色々ハラハラさせてすみません。知恵熱じゃないんですけど…ずーっと寝っぱなしで外に出ていなくて」

本当、今日をこうして無事に迎えられて良かった。


「Fellows」
いいね〜、となんだか妙に納得しながら聴いた。
今のASKAさんにとてもしっくりくる曲だと思う。


「修羅を行く」
You Tubeではちらっと聴いたことがあるけれど、これがその曲かと新鮮な気持ちで聴く。何を歌っているのか興味津々。


「しゃぼん」
今日の声はやっぱり本調子ではないのかなぁと始めは思っていたのだけれど、この辺りからASKAさんの声が急速に出てきておおぉ~と思った。

この曲、アルバムが出た当初はあまり聴きたい曲ではなかった。生々しくて、ダイレクトすぎて、目を背けたくなる感じがしてしまったから。

でも時を経るごとに、この曲から伝わるものを自然に受け止められるようになった。

言葉にしてしまうと失われるものがあって、口にしなくても伝わる思いがある。

伝わる時、心には何が起きているのだろう。


「ソロアーティストで活動を始めて、最初に出したシングルはMY Mr.LONELY HEARTだった。新選組のテーマ曲として依頼されたので、それならば日本的なメロディの曲を作ろうと最初は思っていたけれど、あえて違う方向にした。その後、前も言ったけど…この曲を作って、これが売れたんだよねぇ」

そんな前振りの後に流れたイントロは、「はじまりはいつも雨」。

40年分のありったけだものね。こうやって聴くと、あの頃を思い出す。あぁ懐かしい。

私は小学生で、ビデオテープでこの曲のMVを何度も観たんだったな。公衆電話で電話するASKAさん。


次の曲は、「good time」だ。

やっとやっと聴けたー。もうめちゃくちゃ嬉しい。

復帰後のSymphonicできっとやるはずと思っていたけれど聴けなくて、前回のツアーでも聴けなくて、ファンが選ぶベストにもASKAさんが選ぶベストにも入っていなくて、私は結構さみしく思っていたのだけれど、やっと聴けた。

この曲についてASKAさんは、My Game is ASKAツアーのパンフレットで、「この曲が支持されないようなら僕は歌えない。そうまで思える楽曲。この曲は自分の喜びのために歌ってる」と語っていた。

恋人とのワンシーンという小さな世界を歌いながら、視点の変化と時間の往来が壮大さを生み出していて、聴きながら幸せが身体中に広がっていく。

この曲の魅力を私はずっとずっと考えているのだけれど、結局今も答えが出ていない。

男女の愛を歌うラブソングだけれど、それを超越した普遍性を感じるのはなぜだろう。

人にはなぜ表現したいという希求があるのだろう。
表現する喜びってなんだろう。喜びの先にあるものって。

そういうことを、いつまでも考えていたくなる曲。ASKAさんに聞いてみたい。

余白のある音楽って素晴らしい。
喜びを共有できる幸せに、ありがとう。


余韻に浸りながら次の曲、「帰宅」へ。
ASKAさんがギターを持って歌う。

思い出すのはやっぱり、WALKツアー。

あのツアーでこの曲が生まれたエピソードを聞いて以来、私の中でのこの曲の佇まいが一気に変わった。

コンサートの動員は毎回すごいけれど、CDが全く売れない。「もうここまでか」と思った明け方の帰り道に、思わず車を停めて書き留めたという言葉。

この曲を聴くと、目の目にさっと立ち上がってくる情景がある。

その景色はきっと聴く人それぞれで違うのだろうけれど、そこから湧き上がる切なさややりきれなさという感情は、きっとどこかASKAさんのそれとリンクするのだと思う。

good timeと帰宅の立て続けにこの2曲が来て、聴けたこと自体に感動するあまり茫然としてしまい、気付いたら終わっていた。

私はどうも、共鳴できる状態になるのに時間がかかるらしい。まだ次の機会があって良かった。


続いて、「RED HILL」。
相変わらずかっこいいよね、この曲!
ちょっと、CHAGEちゃーん。って呼んでみたくなったけれど。


「歌になりたい」
幸せな曲が始まったと思ってしばらく目を閉じて聴いていたら、なんだかキラキラした光を感じて、はっと会場を見渡すと、みんながスマホのライトを揺らしていた。

そうだった~と私も慌てて参加する。会場を見渡すと、みんな素敵な笑顔で、温かな気持ちが会場に溢れていた。こういうのっていいな。

この歌について、何かを語れるところにまだ私は来ていない。

どこかにたどり着けるかもしれないし、そうでないかもしれない。

でもそういうのを持ち続けられるのって、とても幸せなことだと思う。

長い拍手で前半終了。

ASKAさん、「きれいだったよ、ありがとう」


ところで今回のストリングスは全員女性だった。オペラグラスで見ていたら、みんなそろいに揃って綺麗な女性で、どうしてなんだろう?って気になっていたのだけど、ASKAさんのオーディションにより「ルックスで選んだ」そう。なるほどね!

「だって俺は美人評論家だから」と言うASKAさんに、観客の男性が、「わかってるよー!」と叫んでいた。


休憩中、トイレから戻ると、ASKAさんが観客からの質問に答えていた。

ASKAさんの育毛剤を教えてー!」と叫ぶ男性。スタッフが来て「時間です」と言われてしまったが、「ブログで教えるからチェックしておくように」とASKAさん。


さて後半の一曲目は「you & me」。
SHUUBIさんを観るのってMy Game is ASKA以来なはず。実に14年ぶりだ。

久々にお目にかかるSHUUBIさんは相変わらず可愛らしくて、ステージに華を添えていた。

とても緊張している様子に見えたけれど、二人向き合ってデュエットが始まると、あのツアーを思い出して、思わず涙が出てきた。

My Game is ASKA、本当にいいツアーだったなぁ。
こうしてまた一緒の空間を共有できたことに、感謝。


しっとり終えて…次の曲はなんと「HEART」。
会場から「きゃあっ!!」という歓声があがった。

私、この曲を生で聴いたことあるのだろうか?もはや思い出せない。

ASKAさんがマイクスタンドをくるくる回してるー!CHAGEちゃんどこー!

すっかりあの時代にタイムトリップした気分になってしまった。


「新曲だよ」と言って始まった次の曲。
めちゃくちゃカッコイイ。「百花繚乱」と歌っていたので、ブログで紹介していた曲と理解。

何を歌っているのかしら、早くもう一度聴いてみたい。


ドラマチックなストリングスのイントロが奏でたのは、ツアータイトルの「higher ground」。

あれ、この曲のイントロってもともとストリングスだったっけ?と思ってしまったほどマッチしていた。美しさの中に緊張感があって。

この曲の意味するところを私は理解しきれていないのだけれど、ツアータイトルに込めたコンセプトはなんなのだろう。


「青春の鼓動」
イントロでまたしても「きゃあーっ!!」という歓声が上がる。

あんまりライブで聴いたことがない気がするけれど、盛り上がる曲なのね。

観客がASKAさんに続いて一緒に歌う。そういう曲なのかー。


「今が一番いい」
この曲の私の楽しみ方は、思い切りの笑顔で万歳!する会場を見渡すこと。

今日はドレミファソラシドの音階を奏でるストリングスにも注目。華やかでいいな。

そういえばこの曲を当初アルバムで聴いた時、Mrs.GREEN APPLEの「StaRt」を思い出していた。
この曲もサビがドレミファソラシド。

「やっとこさ幕開けだ / スタートラインに立った今」と歌う若者と、
「今が一番いい」と歌う還暦のASKAさん。素敵にリンクしてる。

世代を超えて、音楽で共有できる何かってあるんだなぁって思った。


観客の熱気が最高潮に達したところで、ASKAさんが神妙な面持ちで話し出した。
「この曲は絶対やりたいと思って入れることにしたんだ。Be freeっていう曲なんだ」

会場がシーンとした。みんな静まり返って、動かない。

きっとこの曲にはそれぞれの、色々な想いが交錯しているのだと思う。

「見せてはいけない部分に触れられたことで生まれた楽曲」と復帰後のインタビューでASKAさんは語っていた。

この曲は私にとって、事件後ずっと、聴けないそして聴きたくない曲だった。

その後Too Many Peopleが発売されて、覚悟を決めて聴いたら、それはもう泣けて仕方なかった。

その時のそれはきっと、事件の色々が直接的に反映した感情からだったと思う。

でも時が経ってこの曲を聴いてみると、なんて美しい曲なのだろうと思う。

今でも何気なく聴いていて、ふと涙してしまうことがある。

それはあの時の出来事を思い出して、ということではない。

出来事のディテールはもうすべて切り離されて、その上でこの曲の素晴らしさは、表現したいことをぎりぎりのところで、極限の状態まで表現しきったところにあるのだと思う。

伝えきれない想いがあって、のぼりつめるメロディと共にそれが伝わってきて、こらえきれずにあふれてしまう。そこにどうしようもなく共鳴してしまって泣けてしまう。

あの時の状況で、ここまで芸術作品として創り上げてしまうって、とてつもない。

この曲をステージで歌うことはきっと、勇気のいることだったのではとないかと思う。

改めてライブでのBe freeを振り返って、私にとってこれは「幸せとは解放」のプロセスに思えた。

この歌が聴けて本当に良かった。気持ちの流れで言えば、もっと重み付けのあるところでどっぷり聴きたいと思ったくらいに。


本編ラストは「We Love Music」。
Musicに始まり、Musicに終わる。いいね最高!
新曲を聴けるって、幸せだなー。


— アンコール —

「一度きりの笑顔」をしっとりと歌い上げ、続くイントロは「PRIDE」。

あちこちで鼻をすする声が聞こえてくる。渾身の力を込めて歌うASKAさんの声が突き抜けている。

この時間が、終わらないでほしい。


そして最後。
流れてきたイントロは、まさかの、「BIG TREE 」。

えええーーーー!!
全く予想外だよー、なぜか「もうASKAさんに会えないかも」って思ってしまう位の驚きの選曲。

いやいやASKAさんはまだまだ歌い続けてくれる。
すぐに思い直して呼吸を整え歌を聴いた。

でもどうしても歌よりもステージの画が入ってきてしまう。ASKAさんがBIG TREEを歌っている?
その姿を最後に観たのはいつ?
1992年4月に国立代々木競技場で観た"BIG TREE"ツアーだよね、多分!

中学生の時、生まれて初めて行ったコンサート。
ここでこうして聴けるなんて、感無量だ…。


ライブ終了ー。

非常に驚きに満ちたライブでした。何度も今と昔を行ったり来たり。

音楽は時間の芸術というけれど、これほど身体に直接働きかける芸術ってない。

鼓膜に、身体中の細胞に、直接音が伝わって共鳴する。ライブって最高だー。



さて、ライブが終わり数日経ってみて思ったこと。

CHAGE&ASKAが活動休止し、ASKAさんがソロアーティストとして活動していくことはごく自然に受け入れられたし、脱退した時も、特別な驚きがあったわけではなかった。

ASKAさんがいちミュージシャンとしてやりたいことを追及するのが一番だと思っていたから、CHAGE&ASKAに戻ってほしい思ったことは、これまで一度もなかった。

けれどなんなんだろう、日が経つごとに強まる、
「あれ、なんでCHAGEちゃんいなかったの?」的なこの感覚。

共演するはずだったけれど、急遽来られなくて今日はいなかったんだよね位の感じがしてしまう。

あのステージにCHAGEさんがすっと出てきてASKAさんの隣に並んでも、全然違和感がなかった気がする。

なんでだろう、不思議。
でもそんなことだって、あるかもしれない。


まずはまた明日渋谷で!
何を感じられるか楽しみにしておこう。



♪Set List♪

1.僕はMusic
2.Hello
3.天気予報の恋人
4.Fellows
5.修羅を行く
6.しゃぼん
7.はじまりはいつも雨
8.good time
9.帰宅
10.RED HILL
11.歌になりたい

— 休憩—

12.you & me
13.HEART
14.百花繚乱
15.higher ground
16.青春の鼓動
17.今がいちばんいい
18.Be free
19.We Love Music

アンコール
20.一度きりの笑顔
21.PRIDE
22.BIG TREE

SOUND ALIVE presents 横浜合同演奏会

 

今年の初めに東京に戻り、春からは仕事を始めた。

会社で働くのが久しぶりなら、満員電車も夕方の保育園のお迎えからの慌ただしい生活も久しぶりで、あっという間に日々が過ぎていく。

気付けばすっかり音楽を聴く時間がなくなってしまった。通勤時間は電車で音楽に浸れる程長くなく、家に帰れば子供達にその機会を奪われ叶わず。

ASKAさんの音楽もあまり聴けていないし、ブログもそんなに頻繁に見られていない。

ASKAさん、元気にしているかなぁ。
ふと思った時に、重要な予定を思い出した。
ASKAさんが出演するライブに行くんだった。今週末だ!

発売日の夜遅く、たまたまASKAさんのブログを開いてチケット発売に気付き、リセールチケットを購入したのだった。

当日もなんだかばたばたと会場に向かったけれど、終わってみれば、幸せな非日常のひと時を過ごせたことに、感謝の気持ちで満たされた。

 

その夜の記憶。正確ではないかもしれないけれど、熱気冷めやらぬ内に書き留めた言葉たち。

 

 

♫2019年9月16日  パシフィコ横浜

SOUND ALIVE presents 横浜合同演奏会

[出演]スターダスト・レビュー / 杉山清貴 / KAN

[ゲスト]ASKA

オープニングアクト]海蔵亮太

 

三連休の最終日。日中子供達を連れて出かけ、午後、じゃあねと家を出る。わーいライブだ。

東急線を乗り継いで横浜へ。横浜のこの開放感、いつ来ても好きだな。

 

会場に到着して席に着くと、近くの女性客達が何やら話しているのが耳に入ってくる。どうやらスタレビのファンの方達の様子。

やれジュリーは太った、元アイドルの誰々がこの間歌ってたけど太った上に歌も歌えてなかった、でもピンクレディーは変わらずですごかった云々。へー、そうなんだ。

ひとしきり喋り終えた後、しばしの間をおいて女性のひとりが言った。

「そしてASKAはどうなんでしょうね。ちゃんと歌えるんだろうか」

なんて意味深なコメント。何故かちょっとどきどきする私。

 

開演時間の17:30になり間もなく会場が暗転し、オープニングアクトの海蔵亮太さんが登場。

チラシによると、カラオケ世界大会優勝という経歴を持つらしい。

今日は色々、初めて聴く人達の歌がたくさんだなぁと気楽に座って聴いていたのだけれど、しっとり歌い上げる姿に思いの外ぐっときてしまった。

想いを表現できる、そしてそれを聴き手と共有できるって素晴らしい。その境目はどこにあるのだろう。


前座終了後、しばらくの準備時間を経て、ぞろぞろとメンバーが登場してきた。

誰が誰だかよく分からないよー、とオペラグラスで一人ずつ追っていたら、「全員いるね、ASKA以外。」 という声が聞こえてきたのでそうなのかと納得。

スペシャルゲストだものね、ASKAさん。

 

スタレビを生で観るのはこの日が初めてだったのだけれど、要さん、面白すぎる。

「お手間ではあるんですが、良かったら席をお立ちください。 椅子代返してくれって言われちゃうと困るんですけど、まあそこはご自由に。でも空気は読んだ方がいいと思いますよ。 あくまでこれは自律的に、強制されてやるものではないですから。さあではみなさん、ルールに従って立ちましょう!」

終始こんな感じでおふざけしながら進行していく。

初めて聴く生歌は、思いのほか素敵な歌声だ。いいね~と思いながら聴いていたら、突如要さんが、KANさんが弾くグランドピアノの上に登り出した。

下からはスモークがブワーっと顔めがけて吹き付ける。要さん構わず熱唱、観客は大爆笑。なんだこのおじさまは。

しかしこれだけでは終わらなかった。その後の曲でもまたピアノの上に立ち、今度は大きな赤いマントを背中に付けだした。

何が可笑しいって、マントをパタパタと操っている後ろの男性スタッフがものすごい真剣な表情なところ。

目の前のKANも何食わぬ顔でピアノを弾きながら歌っている。シュールだ。

こんなにおふざけしてノリノリなテンションで、ASKAさんは一体どうやって登場するのだろうと気になり出した。

 

そのうちに要さんが、さあみなさんでオリンピックを応援しましょうと言って振り付け指導が始まった。

メンバーが音楽に合わせてマラソン、卓球、ボルダリングなどの動きを模した振り付けをして、私達観客がそれを真似する。笑える、なんだこれ。何度も繰り返して、最後はリレーの姿勢に。

次の瞬間、ステージ横の袖から颯爽と男性が走って来た。ってあれASKAさんだ!

ネイビーのTシャツに、白に近いグレーのパンツという爽やかな装い。アンカーでバトンを受け取ると、あっという間に走り去ってしまった。

「誰か走ってたよねー?」と要さん。

意外に会場無反応。あれ、みんな気付かなかったかしら。

 

その後も何事もなかったかのように続き、しばらくして要さんが、今日のスペシャルゲストです!謎のランナー! と紹介してASKAさん、再び登場。

「えー、さっきのASKAだったんだー!」という声が聞こえる。

同時に冒頭の女性客がこう言った。

「痩せてない!」

えーそうかな?かなり引き締まって見えたのだけど、私には!でも身体を相当作り込んでいるのか、がっしりとした印象。それにしてもASKAさん、若いなー。


ASKAさん登場早々、ステージに大きなホワイトボードが運ばれて来た。大きく「み・な・と」と書かれている。横浜にちなんだお題で、みなとから始まる言葉でメンバーを紹介する川柳を作るらしい。歌じゃないんだ。

ASKAさん「これってみ・な・ とのどれかから始まればいいって言う意味?」

要さん「…じゃあそういうルールにします?」

ASKAさん「どっちなんだよ!」

要さん「やめてよ。 今俺ほんとASKAと険悪な雰囲気みたく思われたくないんだよ」

会場笑。ちょっと苦笑い。

 

箱から一人ずつサインボールを取って、 引いた名前のメンバーを川柳で紹介することに。自分のボールを引いてしまった要さんは、ASKAさんとボールを交換する。

さぁ出来た人!と要さんが聞くと、ASKAさんが真っ先にはいはい!と手を挙げる。

 

「とんでもない なんとかしてくれ みみみのみ」

要のライブでの様子と言って説明するのだけど、「み」はなんだったけな?さっきまで覚えていたけど忘れた!! と言って会場を沸かせるASKAさん。

 

KANさんの番になり、やや恐縮気味に、ASKAさんを紹介することを打ち明ける。

これは本当の話なんですけど、と前置きして、一句。

「みるからに 長いメールが 途切れてる」

ASKAさんから長いメールをもらったが、どう見ても途中で途切れていたとのこと。

ASKAさん曰く、KANがフランスに行った時に何かあったのかなと思ってメールをした。お前は生まれながらの天才なんだからということを書いていた。でも何故か途中で途切れていた。何があったかは分からない。

「ま、そういう関係ってことよ!」とまとめる。

会場、笑いに包まれる。ASKAさん楽しそう。

 

最後は杉山さんの川柳。ちょっと正確に思い出せないのだけれど、みんなとの懐かしい思い出が遠くに流れていく、というような内容だった。

昔の出来事が上手く思い出せなくなってきたという話から、ポプコンの思い出話が始まった。


要さん「スタレビポプコンに出て、予選で大都会を聴いてあぁもうだめだと思った」

ASKAさん「16回、17回のポプコンに出たけど俺も同じ経験してるよ。 円広志さんが夢想花で回って回ってーと歌ったのを聴いて、あぁこれはもうダメだって思ったね」

要さん、おもむろに「…ASKA昔、友達いたよね?」 とASKAさんの隣を指差す。

「お前なー!(観客を向いて)こいつはいつも俺に言うんですよ。今はこういう時だから、そういう冗談とか言うと誤解されたりするからやめとけって。お前が言ってどうするんだよ!」

客席からどっと笑いが沸く。友達かー。でも要さんのこの触れ具合、絶妙だな。あまりシリアスなのも、全く触れないのもあれだし。

 

その後、アカペラでDaydream believerを全員で歌う。

歌い出す瞬間にASKAさん「ハックション」→ みんなズッコケる → 立ち上がってもう一回歌い出す合図 → ASKAさん「ハックション」→ みんなズッコケる。

観客はもちろん大爆笑。ASKAさん、本当に楽しんでる。

客席から「昭和〜!あの転び方」という声が聞こえてきた。

あれはドリフだったのか。そうなんだ、知らなかった。

 

アカペラの後はメンバーがそれぞれの歌を歌い、次はASKAさんの歌というところになり、ASKAさんから一言。

「今日は色んなお客さんがいらっしゃると思うんです。それぞれ聴いてるアーティストがいて。初めて僕の歌を聴かれる方もいらっしゃると思うので、ご紹介ということで、この歌を歌わせて頂きたいと思います。……愛は勝つ

そう来たかー‼︎ 会場どっと湧く。多分この夜一番の笑い。本当、、笑ったー。ASKAさんが歌うの聴いてみたかったけれど!

 

長い笑いがやっと収まり、そのままイントロが流れ出した。曲は、はじまりはいつも雨。おぉーという会場の反応。

やっとASKAさんの歌が聴けたよー。今日は歌も絶好調。しっとり聴かせて曲が終わる。

 

要さん「一緒に曲を作ったのはいつだったっけ、あれは2000年…代だよね?」

ASKAさん「そうそう2000年代」

要さん「あの時僕たちのライブにスペシャルゲストで参加してくれたんです」

ASKAさん「四国だったよね」

要さん「そこで僕らが新曲をやりますって言って、SAY YES、って紹介したらお客さんは最初フーンていう感じであまり反応がなかった。でもいざ二人が出てきたら、ウワーーーってすごい盛り上がってさ! あれ絶対僕らのお客さんじゃないよねって。」

 

要さんがASKAさんの次の曲紹介の前振りをする。

「今日はCHAGEがいっぱいいますから。 あっちにもこっちにもCHAGE。」

わ、CHAGEって言った。さっきは友達だったけど。観客、またしても笑いが止まらない。

 

そして流れて来たイントロはSAY YES。わぁすごい。

CHAGEちゃんパートをみんながハモってる。なんていうか、圧巻な光景だ。

はじまりはいつも雨と来てSAY YES。昔のASKAさんだったらこういう選曲はしなかったかもなぁと思った。

円熟と潔さを感じて、嬉しさと切なさが入り混じってくる。あと何回こうやって聴けるんだろうなって思ったらちょっと泣けてきた。

 

拍手喝采で歌い終える。涙出ちゃったよー。ねぇちゃんと歌えてるでしょASKAさん、と件の女性に心の中で語りかけた。

すると曲が終わって間髪入れず女性が一言、

「YAH YAH YAHやってくれないかなぁ」

同伴の女性「そうだよね、やってくれたらいいよねー!」

なるほどー。ですよねー。

 

女性の期待を裏切り、ASKAさんは詩の朗読を始めた。

こういう場で、これを出来てしまう、観客を持っていけてしまうASKAさんて、やっぱりすごいなぁと思う。

 

「歌になりたい」

3月の静岡公演で初めて聴いて、素敵だなぁと思った曲。 時間を超えて、遠くに届く歌。

歌い続けてくれて、本当にありがとう。

 

会場いっぱいに温かな拍手が広がった。

この後ASKAさんは一旦退場し、後半で再び登場。

 

「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」のイントロが流れる。私の斜め前にいた女性は多分スタレビのファンだったと思うけど、熱烈に拳を上げていた。音楽の力って計り知れない。

曲の終わりに差し替かり、ASKAさんもグランドピアノに上がって歌い出だした。

ASKAさんがピアノの上に立つと、面白いっていうよりふつうにカッコよく決まっちゃうよねー、なんて思っていたら、 曲の終わりに合わせて片手をピアノについて華麗に回転し、見事に着地…ではなく尻もち。

あれは見事な演出なはず、と思い込む。

 

そしてアンコールでは「YAH YAH YAH」。

観客総立ちで拳を振り上げる。

そうそう、この景色。マッキーのライブでも味わった感覚。 あの時代を共有したみんなと、繋がっている感覚。これって本当、感動的だ。

件の女性もきっと、楽しんでくれたはず。


それにしても、メンバーのCHAGE役コーラスに感動する一方でうすうす思っていたのだけど、CHAGEちゃんのコーラスワークってめちゃくちゃ凄かったんだ 。

あの高さでハーモニーを奏でるって尋常ではないことなのね! と、ご本人不在にして今更ながらに感心してしまった。

いつかまたお友達になれるかしら。

 

アンコールが終わり、要さんが「最後に一言頂けますか」 と各出演者に聞いていく。

KANさん「今日はもうずっと緊張してまして…」

要さん「なんで?」

KANさん「 いやもうはじまりはいつも雨は僕にとって特別な曲ですから、それをASKAさんと一緒にやれるとは。しかも僕がその曲のカウントを入れると言う。…がんばりました(お辞儀)」

背中に白い羽を付けてお茶目な格好をしているのに、なんでずっと浮かない表情で歌っているのかしらと思っていたのだけど(あるいはいつもそう見えるのか分からないけど) 、緊張していたのかー。

 

続いてASKAさん。
ASKAさん「今日の話っていつもらったんだっけ、 結構早かったよね?」

要さん「おとといだよ」

ASKAさん「違うだろ!結構早い時に話をもらって、もう、すぐ出るって返事をしたんですよ。それで今度は北海道でもやるんだよね。大黒摩季ちゃんも一緒に。 そこでは俺はスペシャルゲストではないんだよね。その違いがよく分からないんだけど。扱いの違いが」

要さん「いや色々あるんだって。この人簡単に言いますけどね、出てもらうのもそう簡単じゃないんですよ。色々事情が」

ASKAさん「俺の事情か!お前の電話一本だっただろうが!」

要「まぁ音楽やってると色々ありますからねぇ」

ASKAさん「お前がまとめるな、お前がまとめるな!」

ASKAさん「…頑張りました!」

 

———

ライブ終了。

 

こんなに笑えるライブだったなんて。楽しかったなー。なによりASKAさんが楽しんでいる姿を見られて嬉しかった。素敵な仲間に囲まれて音楽をやれるって最高だろうな。

 

公演後、道すがら聞こえて来るお客さんの話がまた面白い。 普段ASKAさんの歌を聴いていないであろう人達の新鮮なコメント。

 

ASKA大きい。 ASKAの横にいると要さんがちっちゃく見える。」

確かに。お茶目でかわいいおじさまだったな、要さん。

 

ASKAさんがマイクの方全然見ないで歌うって本当だったんだー 。モノマネの人達がやってるのって誇張じゃなかったんだね。でもあんなにマイクから離れててあの声量すごいよねー! どんだけ声量あるんだろうね」

今更すぎて面白いー‼︎

 

ASKAさん怪我してないか心配。おしりから行ってたと思うんだけど、あれ痛いよねー。 KANちゃんがあわてて心配そうに駆け寄ってたもんね」

え、あれ演技じゃなかったんだ⁈ そうなのかな、どうだったんだろう。

 

上と同じ方「あの曲(恐らくは共作の曲)歌って欲しかったけど、まあたくさん(人が)出てたからしょうがないよね。 KANちゃんのライブにゲストで出てくれないかなー。 むしろASKAさんのライブに出てほしい。でもそしたらライブしっかり見ておかなくちゃ。DVD発売禁止にでもなったら困る!」

発売禁止ってどういうこと。いやそれはないでしょー、と心の中で突っ込む。

 

ASKAはあんまり触れられたくないみたいだったね。何があったんだろうねぇ」

しんみり語り合う女性二人組。

そうだなぁ。私にも分からないなぁ。

でも何であっても、ASKAさんが選んだ道は、きっとそれで良かったのだと思う。

ASKAさんが、自分のために歌を歌う。

伝わって来たら、それが答えなんだろうな。

 

オンリーロンリーの思い出と

4年間住んだ静岡市を離れることになった去年の夏、慌ただしく引っ越しの準備をしていた時に、見つけた本があった。

 

ASKAさんの詩集「オンリーロンリー」。2冊並んだ本が、入りきらない本棚の上で埃をかぶっていた。

 

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オンリーロンリーの思い出。

 

1冊は中学生の頃に近所の書店で購入して、もう1冊はその昔、93年の年末に福岡でコンサートに行った時に、私がファンであることを知った知り合いの方に頂いた。ASKAさんのサインとバックステージパス入りで、その方とASKAさんが一緒に写った写真まで頂いた。

 

知り合いだった方が実はASKAさんと交流があるとは本当にすごいことなはずなのに、当時の私はとても人見知りで、「ありがとう」としか言えなかった気がする。

 

ASKAさんはどんな人だった?」とか、「ASKAさんとどんなこと話したの?」くらい聞けば良かったのに。本当に、貴重な機会損失だ。とよちゃん、元気にしているかな。

 

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そんなことを思い出しながら、懐かしく詩集のページをめくった。そうそう、綺麗な挿絵を眺めながら、詩の世界を想像するのが楽しかったな。

 

しばらく挿絵を眺めているうちに、この絵の作風に、なんだか見覚えのあるような気がしてきて、絵を描かれている黒井健さんについて調べてみた。

 

そうしたら、あの絵本「ごんきつね」や「手袋を買いに」の絵を描かれている方だった。オンリーロンリーの挿絵はそれよりも前に描かれていたようだった。

 

ごんぎつね (日本の童話名作選)

ごんぎつね (日本の童話名作選)

 

 

嬉しくって娘に教えた。

「ねえねえ、この本知ってる?ASKAさんが昔書いた詩の本なんだけど。ごんきつねの絵を描いている人と同じなんだよ。ね、絵の感じが似ているでしょ!」

 

「ほんとだー。じゃあ読んで!」

 

「え、読む?この本を声に出して読むの?」

 

思わず聞き返してしまったけれど、娘は当たり前のように「うん」と言う。いつもの絵本読み聞かせと変わらないと思っているらしい。

 

なんだかちょっと気恥ずかしい気持ちになりながらも、いいよと言って読むことにした。

 

「ママね、好きな詩があったんだ。これこれ。」

 

久しぶりに開いた本だったけれど、すぐに見つけた。とても短い詩に、美しい夕暮れの風景が添えられているこのページ。

 

 

「何かをやらなくてはと

意気込んだ日に限って

時間は簡単に

過ぎてしまいます」

 

 

読み終えて、私は声をあげて笑ってしまった。

 

中学生の時もこれを読みながらそうそうって頷いていた私だったけれど、30年近く経っても何も変わっていない。

こんな私ってどうなんだ。

 

「ほんと、今日はこれをやろうって思っても、どうしていつも終わらずに一日が終わっちゃうんだろうね」

そんな会話を娘とした。

 


あれからもうすぐ1年経つけれど、やろうと思っていたことは、どうして、まだ出来ていない。

 

あの時の私はけらけら笑いながら話していたけれど、また明日やろうって思っていたけれど、このまま時間に置いていかれることを繰り返していたらどうなってしまうのか。

 

時間は消えてゆくのに。

ASKAさんは前へと進んでいるのに。

 

やらなくてはならない何かの意気込みを持って私はこの世に降りて来たはずだけれど、もしもやり遂げらないまま終わってしまったら?

 

思い残した想い達は、一体どんな形で生まれ変わるのだろう。

 

借りを作ったまま終わらせてしまうわけには、やっぱりいかない。

 

私のささやかな決意。

 

やりたかったことを、ひとつずつ形にしよう。

 

この場所におさまりたいのに、言葉に出来ないまま浮かんでいる断片的な想い達を、残らず言葉にしていこう。

 

そしてそこに立って見える景色を、見にいこう。

 

ありがとう、オンリーロンリー。