頬をつねる話

(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)

 

 

 

2月9日。

hiroさんが参加されている優美塾の写真展のお誘いを頂いていたので、家族で伺うことにした。


さらに、この日の神奈川県民ホールのチケットを余分に取られてしまったということで、hiroさんから夫に譲って頂けることになった。本当は私が行きたかったんだけどね!


「それはいくらなんでも行きすぎだろう」と夫に苦言を呈されたので、じゃあ自分が行ったらどうかと提案してみたら、「それなら行く」と。たまにはそれもいいか。

 

目黒区美術館に到着して、hiroさんとの再会を喜び、展示をご案内頂いた。


そのうち娘も打ち解けてきて、福岡での写真展でhiroさんがASKAさんに遭遇した時の写真や動画を一緒に見せて頂いた。「ASKAさんが動いてる!」と娘は興味津々。


そして「福岡にはASKAさんが来たのに、どうして今日は来てないの?」と子供らしく尋ねる。


「そうねー、ASKAさん今日はライブがあるからね。今頃練習してるよきっと。」と私達は笑いながら言った。

 

しかしその後、何が起きたか。

 


本物のASKAさんが、現れた。

 


私が一通り見終えたところでお手洗いに行って戻ったら、会場が何やらただならぬ雰囲気で、hiroさんが「ASKAさんが来ている」と言う。


えーー!どこどこ、あぁあの方かしら、きっとそうね、でもあれは本当にASKAさん?

目の前の現実を上手く認識出来ない。娘は、「これ絶対夢だよ」と言って自分の頬をつねっている。


とりあえず覚えているのは、「ASKAさーん!」と駆け寄って手を差し出したら、ASKAさんが、右手を私に差し出してくれた…。


わーーー。

ASKAさんの、手を握ってる!!

しかも、つるんとしてるー!


もう胸がいっぱいで、何にも言えない。

 

ある時娘に「もしASKAさんに会ったら何ていうの?」と聞かれて以来、ずっとその時を妄想していたけれど、まるで役に立たなかった。


でもそれ以上に、出会えただけで幸せだー。

 

 

それにしても、普通の人ではないオーラが漂っている。

その上、マスクをしていてもカッコいい。どういうこと。

時折ASKAさんに写真の説明をされるhiroさんはずっと、少女の瞳でASKAさんを見つめている。こんな光景が目の前で繰り広げられる時が来るなんて。

 

会場の写真を一周鑑賞され、ASKAさんがご挨拶して会場を後にする。「ASKAさんまたねー」と手を振ったら、手を振り返してくれた。夫が「今日行きます!」と声をかけたら返事してくれた。嬉し過ぎる。


hiroさんと感激のハグをして私達も別れの挨拶をする。今夜のライブは1列目だそう。なんていうミラクル。

 

 

帰り道、夫が「いやー、僕の支度が遅くなったおかげでASKAさんに会えたね、良かったね」と笑いながら言う。

「でもこれって偶然かな?それとも必然?」

私が言うと、「それは偶然でしょ」と間髪入れずに返された。  

 

不思議。私は最近、ここに文章を書きながら感じていたことがあった。

書くごとに色々なものを少しづつ手繰り寄せていて、そこに向かうエネルギーが然るべき形で、現実に反映される時が来るような気がしていた。

ライブ前のオープニングムービーで、ライブに向けて準備する二人がいて、やがて本物がステージに登場するみたいな、あれはなんだっけ。そのような感じで物事が展開していくような感覚があった。

それはあまりに突然で、予期せぬタイミングだったけれど。あぁ本当にこの時が来たんだなぁって、感慨深くASKAさんが私の目の前にいる景色を眺めてしまった。

 

hiroさんと私の間には驚くほどたくさんの共通点があって、今日も私達が互いに左利きであることを発見し、また一つ共通点が増えた。

素敵なご縁を繋いでくださっているのは、きっと偶然ではないんだろうなと思う。

 

 


夕方、ライブに向かう夫と別れる。いいないいなーいってらっしゃい。


帰宅すると、一息つく間も無く夫が感想を語り始めた。

higher ground 最高だったよ!やっぱりライブはいいねー。BIG TREEで拳作って熱唱しちゃったよ。」

恐らくは2013年1月のROCKETツアー振りにASKAさんのライブに行った夫が、興奮冷めやらぬ様子で話す。

「あとRomiちゃんがビルボーが綺麗って言うから、俺もVixen(双眼鏡)でマジマジと見てきたよ。本当にみんな綺麗な人達だねぇ。」

俺のお気に入りはバイオリンのあの子とチェロのあの子。Vixen役に立ったよありがとうだって。いえどういたしまして。

「…それで、どの曲が良かった?」

「やっぱりPRIDEが一番良かったけど、いやー、あの曲良かったね…Be free。」

「だよねー!!どこが良かったの」

「あれはやっぱりASKAさんが苦悩の中で作った曲だと思うよ。それが伝わってきたね」

「泣けたー?」

「Be freeも泣けたし、あとあれ、意外にしゃぼんも良かったね。情景が湧いてきた」

「そうなんだねー、しゃぼんいいよね。私はこの曲でめちゃくちゃ泣けちゃったよ」

「あと聴いたことない曲があったけどカッコよかったなぁ」

百花繚乱と修羅を行くのことらしい。また来月のアルバムで!

「good timeはどうだった?私あの曲好きなの」

「good time?あぁー。あれは…歌詞はいいよね。…その言葉が残ればいい」

歌詞はいい?ふーん、そうなんだ。

「あとはけれど空は青が聴きたかったなあ」

「好きだよねーその曲。あ、今が一番いいではバンザイした?」

「そりゃするよ!あれはやっぱりライブでやるといいよね」


あはは、そうかー。

私の感想は専ら私の中で消化していたけれど、こうやって共有してみるのも楽しい。

 

 

そして私はまた娘に何度も話す。

「ねぇ、今日誰に会った?」 

「だから、ASKAさんでしょ」

ASKAさんに会ったよねー!本当に会ったよね?」

「つねってみな」

 

つねってみたら、やっぱり夢じゃない。

幸せー。