音楽のゆくえを考える。CDと、配信と。
CDは今後、コレクターのものという位置付けになって行く。
これからの音楽の供給は、間違いなく配信になっていきます。 CDは、そのアーティストのものを手元に置いておきたいという、 言わば、グッズのようなものになります。もう、そうなっていますね。
10月の発表。 - aska_burnishstone’s diary
ASKAさんの最近のこのような発信を目にして、CDはこれからも残っていくのだろうかということを考えるようになった。
この間CDのほとんどを処分してからは、さらにそのことを考えるようになった。私にとってCDプレーヤーはいずれ不要になるものだろうと感じた。
CDを聴くにはCDプレーヤーが必要なわけだけど、今後もその需要はあるのだろうかと考えると、見込みはとても低いような気がする。今の若者が音楽を聴く手段は、スマホでYouTubeの音楽を聴くというのが主流らしい。CDプレーヤーがそもそも何であるか知らないという高校生の話も見かけるし、彼らが将来CDプレーヤーを購入する可能性は、限りなく低いだろう。
そうするとCDは、今CDプレーヤーを持って聴いている人達がいる間は存続するだろうけど、市場が先細りしていくのは確実だろう。
とはいえ見渡すと、日本ではまだまだCDが売れ、盛んにリリースされている印象だし、レコードショップも少なくなったとは言え実感としてはまだ存在感がある。
そんな状況を前に、私は今後CDと配信(というとりあえず二択)だったらどちらを選ぶかということを考えることになる。
CDも配信で購入する音源も、突き詰めると複製可能なデジタルデータであるから、そこにどんな優れたコンテンツが入っているかに関わらず、そのコストは限りなく無料に近付いていく。
データを取得するという点で結果が同じであれば(厳密には音質が異なるけれど)、そしてそこだけを考えるのであれば、ユーザーにとってはより安くて便利な配信を選択するというのは妥当な選択肢だと思う。
でもその一方で、CDと配信ではアーティストにとっては事情が違ってくるという現実もある。配信ではさまざまな権利料や流通手数料で大半が引かれ、アーティストの手元に残るものが少ないという。
だからCDを売るために、例えば特典や権利を付けるというのも分かる。数年前のスガシカオさんの「ダウンロードだとほとんど利益がない。CDを買ってもらえると制作費が補える」という発言も、とっても切実に響いた。ユーザーとして出来ることをしたい、という気持ちになった。
でもしばらく考えて、それでいいのかなって思った。アーティスト側の事情を鑑みて、本当は配信の方がいいのだけどあえてCDを買う、っていうのは、健全な経済ではない気がした。
ユーザーにとって最も合理的で最良の選択が、アーティストにとっても一番良い結果をもたらすのが、理想の姿だろうと思った。
そう考えると、今の状況には歪みがある。ユーザーにとっては配信の方に分があっても、アーティストにとってはCDの方が利益が出るのでこちらを買ってほしいという状況になっているとしたら、それはお互い不幸だと思った。今の時代にあった、アーティストにきちんと還元される新しい権利の概念やシステムを作っていくことが必要になってくるのだろう。
とそんなことを考えていたら、ASKAさんの配信サイトWeare設立のお知らせが。
aska-burnishstone.hatenablog.com
ASKAさんなら、そういう構想があるかもしれないと思っていたけれど、まさかこんなに早くに、本当にやってしまうなんて。ASKAさん、かっこいいよー。涙。
元JUDY AND MARYギタリストのTAKUYAが2015年のインタビューで、音楽が売れてもアーティストに還元されない状況について、「多分もう全く新しい発想で、一から音楽やパフォーマンスを考えて、お金にしていって、管理する方法を誰かがやって大成功して巻き込んでくしかないと思うな。」と言っていたけれど、今まさにASKAさんがこの入口に立ってるんだよね、と思ったら感慨深い気持ちになった。
音楽を愛する人達が安心して活動できる環境があるというのはとても大切なことだと思う。誰かがやらなくてはと思っているその誰かがASKAさんであったのは、あの場所をくぐり抜けてきた今のASKAさんだったからこそだとも思う。
新しいことを始めると、向かい風も吹き、小石も飛んでくるかもしれない。大きなことを成し遂げるための、ちょっとした条件なんだろう。
確固たる理念を持って突き進むASKAさんが、音楽シーンに新たな風を巻き起こしていくのを、熱い眼差しで応援していきたいと思う。
さて、最近の私がもっぱら音楽を聴いているのはSpotifyで、今日も朝からずっも聴いている。これによって私と音楽との関わりがすっかり様変わりしたと言っても過言ではないと思う。
ASKAさんは、聴き放題が「世間の常識となっていくことに警鐘を鳴らしたいという気持ち」があると述べていた。
どうなんだろうな。ゆっくり考えよう。