ASKA CONCERT TOUR 2009 WALK

 

過去のライブDVD、何があったかなと取り出して眺めていて、気付いたことがあった。

どのライブをどこの会場で観て、どんなエピソードがあったかをすらすら思い出せるのに、WALKツアーだけは、全く記憶がない。DVDも、ほとんど観たことがなかった。なんでだろう。

気になってチケットを探してみたら、大宮、仙台、NHKホール2回と、4公演も参加していた。仙台まで行ってたなんて、全く思い出せなかったし、シューティングライブにも参加していたなんて、すっかり忘れていた。

何故4回も行ったのだろうとしばし考え、そうだ、このツアーは解散報道からの無期限活動休止を発表した後のツアーだったから、ASKAさんがどんな言葉を発するのか、ただならぬ関心があったんだという解に至り、

いざ行ってみたら、ASKAさんは「アイツが全部悪いんです」なんておちゃらけてたんだった。喋りが絶好調で、これはDVDに一体どう収録されるのかしらと思っていたらバッサリ切られていて、残念なの半分、まぁそれもそうだよねと思ったの半分だったことを思い出した。

でも肝心のライブのことを、ちっとも思い出せないので、久々に観てみることにした。

観ているうちに、そうだこの曲の前にキックス君が出てきたなとか、帰宅のエピソードを聴いて、この曲が大好きになったんだった、と記憶が蘇ってきた。

そうして後半、ASKAさんがだんだん声を振り絞るように歌っている姿に、見ている私まで、呼吸が浅くなってきた。

そうだった。私はここで、祈るような気持ちで、心の中で声援を送り続けていたんだった。たくさんのお客さんと一緒に。

そこには、何も寄せ付けない気迫と魂だけが存在しているようだった。でも、澤近さんがASKAさんに送る眼差しにはいつも以上に気持ちが込められている気がしたし、メンバーの熱い演奏から、ASKAさんへの気がこれでもかというくらい伝わってくる気がした。

パフォーマンスとしては不本意だったかもしれない。けれどここに確かに流れていたであろう気や念というものを想像すると、本当、また泣けてしまう。


色んなところをくぐりぬけて来たんだなぁ。ASKAさんも、私達も。

それぞれの人にとっての様々な想いや苦悩があって、それは時に姿かたちを変えて心を曇らせることがあったかもしれない。でもそれらを経て、今また共有出来る景色があるというのは、幸せなことだなと思う。

クロスワンって、言ってみようかな。

なんて、ライブ後の余韻に浸りながら思ってみたりした。