2020.1.15 LINE CUBE SHIBUYA ASKA premium ensemble consert -higher ground-
(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)
「えっ、この間行ったばかりなのにまたASKAさん行くの?そんなに好きなの?」
最近何故かいつもぷんぷんしている8才の娘に言われてしまった。そうなのもちろん行ってくるよー。
1月15日、朝の会話。
先日の国際フォーラムに続いて、今日はLINE CUBE SHIBUYAに向かう。
ASKAさんのライブをこの会場で観るのって初めてだな、新鮮。仕事を終えて、山手線を今日は反対方面に乗って会場へ向かう。
渋谷は、今ではめったに訪れることがない街になった。公園通りを上りながら、こんなところにアップルストアが出来たんだとか、タコベルがある!と驚きながら歩いた。
PARCOの前に来た時、ふと立ち止まって見上げた。
すっかり姿が変わってしまったけど、昔ここでCHAGE&ASKAのライブ映像上映とパネル展示があったなぁと懐かしく思い出した。1992年12月のCONCERT MOVIE GUYS。
27年も前か。私の生活や一緒に暮らす人、取り巻く環境はその時とはすっかり変わったのに、こうして今もASKAさんのライブに向かっていることが、とても不思議なことに思えてくる。
歩きながら、今日の私は、先週とはライブを迎える心のあり方が違うことに気が付いた。
心がcan do now的にチューニングされていて、始まる前からなんだか泣いてしまいそう。どうしてかな。
LINE CUBE SHIBUYAに到着。リニューアルしたてで綺麗な会場だ。
今日は2階席か、と思いながら席に向かうと、思いの外ステージ全体が見渡せていい感じ。
18:30の定刻になり、開演。
バンドメンバーとビルボーが登場し、ASKAさんが現れる。
We Love Musicのコーラス演奏後、ASKAさん達による宇宙人コーラス。
「ナントカナントカ~、ヨウコソ~、ナントカナントカ~」
やっぱりわかんないよ!笑
そしてオープニング曲、『僕はMusic』。
ASKAさんが歌い出す姿を見ただけでうわーって涙。なんでだー。
前回ちゃんと観てなかったけど、バイオリンギターが素敵に似合ってる。
『Hello』はやっぱりストリングスが綺麗で、でも今日はもっぱらASKAさんの歌にただ泣ける。
前回は多分軽い気持ちで聴いてた『天気予報の恋人』も何故か涙が止まらない。私の心が夕焼けてくよ。
ASKAさん「今日は早めに終われと言われていまして。」
会場から「えーー」という不満の声。
「いやほんと、最近延びてるのよ。色々思うところあって、しめていこうと思っています。では次の曲。」
『Fellows』
ASKAさんの赤いギターがとても映える。
また涙しちゃう。歌っている姿にただ泣ける。
この曲が良いのはもちろんなのだけど、今のASKAさんにすごくハマる感じのこの感覚、なんだろうな。
今日はASKAさん以外を見渡す余裕がない、そういう気持ちだったのだけど、ふとベースの音が耳に入ってきて、めちゃくちゃかっこよかった。
以前はトキの赤ちゃんだったと記憶しているけれど、今はワンコ系らしい、メッケンさん。
『修羅を行く』
前回よりも歌詞に意識を向けて聴いてみた。戦車な勇気で修羅を行く…カッコいい。
曲の途中でマイクを落としてしまうアクシデントがあったけれど、それさえも拍手が起きていた。
そして『しゃぼん』。
今日のASKAさん、一体どうしちゃったんだろうという位、歌い出しから熱量がすごかった。
ASKAさんの歌う姿がとても切なくて、寂しくて、それでいて官能的で。身体中から感情が溢れ出していた。
初めからそんなじゃ、涙、止まらなくなっちゃうよ。
Too Many People発表以来、私にとってこの曲は、アルバム中最も聴くことのない曲だった。
どうしても向き合うことが出来なくて、自分から聴くことはほぼなかった。
ASKAさんがこんなにも生の感情を歌で吐露するということを、多分私は受け止められなかったんだと思う。
でも今夜のASKAさんのしゃぼんを聴いて、私はこの3年間、Too Many Peopleの一体何を聴いていたんだろうという気持ちになった。
ASKAさんが魂を込めて歌う姿を観て、私がそこに心を向けることで、それにより楽曲の存在がこんなにも一変することがこれまであっただろうか。
心が震えて、この歌に一体化していく自分を感じた。
伝わるって、こういうことなんだ。
ASKAさんも最後、目頭を押さえているように見えて、ますます泣けてしまった。
「座っていいよ」
しゃぼんが終わり、ASKAさんが観客を促す。
「…10年後、歌っているとは思うんだけど…想像すると怖くない?」
観客から「えー」という声。ASKAさん、さらっと言ったけど。そんな。
「いやこれ独り言だから。入って来ないで!…お客さん?!」
「ソロアーティストとして活動しているわけですが、二人だからやれたこと、二人だからこそやれなかったことがある。でもそんなことに神経を尖らせず、やりたいことをやっていこうと思っています。」
「ソロになって初めて出した曲は…MIDNIGHT 2 CALLだっけ、MY Mr.LONELY HEART、どっちだったっけ、お客さん?はい、MY Mr.LONELY HEART?MIDNIGHT 2 CALL?あぁそう?その後これを作って、売れた曲です」
『はじまりはいつも雨』
何度も演奏されているこの曲だけれど、今日はちょっと高いところから、俯瞰する気持ちで聴いてみた。
ずっと歌い継がれていく歌になるんだろうな。
美しい旋律を奏でるストリングが、ステージに素敵な景色を作っている。
ビルボーの方達は、今日どんな気持ちでこのステージに向かっているのだろう。この空間を一緒に作ってくれていることに、只々感謝。
『good time』
今日のgood timeは、この間より一層深みを増して伝わってくるように感じられた。
ASKAさんが、とても丁寧に言葉を紡いで歌っている気がして。それは、私がそのように心を向けて聴くことが出来たから、ということかもしれないけれど。
幸せすぎて、やっぱりなみだが出ちゃう。
温かな拍手で歌い終える。
「good timeという曲をやりました。あれを出したのは2000年だったかな。もう20年経つんだね。これを出した時…あんまり反応なかったんだよね。」と会場の笑いを誘うASKAさん。
「みなさんに選んで頂く曲と僕が選んだ曲でベストアルバムを作りまして。あれは確か13曲あったよね。ね、お客さん?それでこの曲は、絶対選ばれないと思ってたんですけど…選ばれませんでした。…お客さん?」
「でも13曲のちょっと下で、あと少しのところで選ばれなかったんです!僕が選ぶ曲の時に、選んでおいても良かったかなと思うのですが…Cryをどうしても入れたいということで。」
good timeは、Cryに負けたのかーー!!
でもでも、ASKAさんの想いの片鱗を聞くことができて嬉しい。
私はもちろん投票の時にgood timeを書いたけれど、この曲の居場所がなくなってしまったような想いがずっとあったから。
2000年にこの曲が発売された時、私はCHAGE&ASKAから離れていて、リアルタイムでは聴いていなかった。
SCENE IIIで聴いて、後に大好きになった。この曲のインストを聴けたら良いのにってずっと思っていたら、実はシングル時にインストも発表していたことを知り、どうしても聴きたくて中古CDを購入した。
この曲の素晴らしさが、もっともっと広まっていきますように。幸せな名曲は、いつだって蘇る。
この曲ができたエピソードからの、『帰宅』。
国際フォーラムではふつうに聴いていたのだけど、今日はもうずっと涙。
先日のブログで言葉にしていく過程できっと、心の中を深く下っていって、感じ取れるようになったのかもしれない。
『RED HILL』
ASKAさんに安定はない。その生き様が曲同様にかっこいい。
『歌になりたい』
今日はすぐにスマホを取り出せるようにして、ライトをオン。
みんなの光がゆらゆら揺れて、この歌への祝福のようだった。
でもなんだか今日は…ほんとうに涙・涙で、途中から揺らせなくなってしまった。
「僕らは命の中にいる 時を超えても命の中にいる」
聴いていたらだんだん、この歌そのものが命を持っているような気がしてきて。
歌が意思を持って歩き出すような、そういう気持ち。
ずっとずっと、続いていってほしい。
そしていつかまた、出会えますように。
ー メンバー紹介 ー
ワンコ系のメッケンと紹介してハイジの真似をしたり、ドラ沼孝三と言ってしまったり、90年の付き合いのチカちゃんと紹介してみたり。楽しいよー。
ASKAバンドは今日も最高。素敵な人たち。
ー 休憩 ー
ASKAさん「ほら、俺たち付き合い長いでしょ。…近いでしょ?今のうち行って来て!」
は、はい。
女性「オリンピックのチケット取れたー!」
ASKAさん「それ質問?報告?」
女性「報告ー!」
ASKAさん「イヤミだねぇ。俺は取れなかったんだよ!!」
男性「男だけのライブやるー?」
ASKAさん「やろうやろう!」
男性「今日日帰り出張で、福岡に行って来ました!」
ASKAさん「福岡、そうかー!で質問はなに?(ズコって感じで膝をつく)」
男性「FUKUOKAを歌ってください!」
ASKAさん「♪FUKUOKA~はい終わり!」
男性「ASKAさんの誕生日の次の日に、嫁に子供が生まれます!」
ASKAさん「そうなの?それで奥さんは一緒に来ているの?」
ASKAさん、前においでよとご夫婦を呼び、奥様のおなかをスリスリ。
奥様、感激で両手で顔を覆ってた。わー素敵。
なんだろう、愛を感じちゃう。ラブがいっぱいの空間。
今日もスタッフの耳打ちにより休憩終了。
終了間際、前列の席に戻ってきた男性に「漬物でも持って来るのかと思ったよ」とかなんとか。
漬物?? よくわからないけど!ASKAさんて、面白い。
SHUUBIさんがステージ中央に出てきて、ASKAさんと向かい合って椅子に座り、『you & me』を歌う。
SHUUBIさんにも、ASKAさんにも、そして観客のみんなにも、きっとここに来るまで色んなことがあって。辛かったこと、泣けてしまうこと、いっぱいあったと思う。
でもそれを全部包み込んで、愛に変えちゃう。そういう歌だった。歌が持つ癒しの力ってあるんだな。
『HEART』、『百花繚乱』、『higher ground』、『青春の鼓動』
後半、どんどんボルテージが上がっていく。
そして、『今がいちばんいい』。
この曲を私がライブで聴くのは多分6回目だと思うのだけれど、私はこの夜初めて、みんなと万歳して、一緒に歌うことができた。
やっとやっと、突き抜けられた。
Black & Whiteで最初にこの曲を聴いた時の印象は、率直に言うと、「え、なにこれ…?」だった。
曲も詩も一体どう受け止めたらいいのか、本当に分からなくて、「ライブで盛り上がることになる曲」とASKAさんがブログで書いているのを読んでも、私にはイメージがわかなかった。
何より思ったのは、私の敬愛するあの"哲学のASKAさん"はどこへ行ってしまったの?という気持ちだった。
同時に思い出していたのは、アルバムSCRAMBLEリリースの時にASKAさんが語っていたこの言葉。
「歳をとるといろんな部分が幅広く見えてくるから、そこで最後に使うのは、シンプルさ。僕はまだそこには行っていない。わかりやすく聴かせる、童謡が持つよさの域にはまだ行っていない」
当時、「童謡の域って一体どんなだろう?」って結構な驚きを持ってこの言葉を私は受け止めていた。
ポップスとは分かりやすさであり、共有できるもの。
事件を機に新たに聴き始めた人や、若い世代も多くいて、そういうリスナーに向けて、シンプルな言葉とメロディで表現する。
きっとそういうことなのだろう、ASKAさんはとうとうその域に達したのだと頭では理解したのだけど、どうしてもその中へ入って行けない自分がいた。
でもこの夜のライブに参加していて、この曲が聴こえてきた瞬間、
もうそんなこと、どうだっていいじゃん!!
って心から思えてしまった。
だって僕はMusicで、歌になりたいんだから!
私が一方的に何かを期待したとしても、ASKAさんは今もアップデートし続けている。
やっぱりASKAさんは、何歩も先を歩いているんだな。
私にとって、この夜は記録的な解放の日になった。
「3月20日にニューアルバムをリリースします。タイトルは、Breath of Blessと言います。
じゅうごきょく入りです(大分噛む。観客があちこちで、「15曲だって」と説明している)」
「Too Many PeopleとBlack & Whiteをリリースしてきました。Too Many Peopleで、この曲は絶対入れなくてはいけない、絶対歌わないといけないと思った曲があります。その曲を歌います。今日は本当にありがとう」
『Be free』
ライブでの曲のあり方って、観客の持つ気によって全く変わってくるんだろうなって、聴きながら思った。Be freeはこれから、まだまだ変化していくのだろうな。
私にとって、これからも大切に歌い続けてほしい楽曲。
『We Love Music』
早く聴きたいなーこの曲!ワールドワイドな感じがすごく好き。
ー アンコール ー
『一度きりの笑顔』
『PRIDE』
『BIG TREE』
『一度きりの笑顔』の切なさにとめどなく涙が出てきて、『PRIDE』でどわっと感情が溢れ、『BIG TREE』で異空間に突入。最高の気分!!
ライブが終わったら、しばらく放心状態で、現実世界に上手く戻れなかった。
人混みの渋谷の街を駅に向かいながら、幸せな気持ちに浸っていた。
そういえば今日は、CHAGEちゃんを思い出す間がなかった。
この間のライブとなぜこんなにも感じ方が違ったのだろう。
ASKAさんの発するエネルギーと、観客の気があって。そしてそこに私が心と意識をどう向けるか。
それによって、全く別次元の体験になり得る。
幸せは与えられた条件によって決まるものではなくて、ひとえにそれを感じ取れるかどうかなんだな。
それならいつだって感じていたい。
音楽で、ASKAさんの歌で、こんなに幸せになれるなんて、私今まで本当に知らなかったかもしれない。
そして、しゃぼん。
この曲が、今までになく自分の中に響いたことに驚いた。
私はとても不完全な人間で、欠落している部分がたくさんあると思う。
今夜、ASKAさんの歌が私に降り注いで、欠けたところを満たしてくれたような気がする。
でも、矛盾している。
深く伝わったと感じるほど、より一層寂しさを感じてしまうのはなぜなんだろう。
感情をひどく揺さぶって、溢れ出す涙を生むこの寂しさの正体は一体なんなんだろう。
ライブの翌日も、その次の日も、しゃぼんを聴いていたら、ASKAさんのあの姿が蘇って何度も泣けてしまった。
そのうちに、ふっと浮かんだ想い。
いつか思い出と共に生きることになった時に、この寂しさが、私を大切なところへ繋いでくれるのかもしれない。
そんな風に思えた。
ライブの夜、家に帰って、
「もー帰り道に幸せ過ぎて、ママこのまま死んじゃうかもと思った」
と娘に言ったら、フンって顔で、
「もう、ママってそんなにASKAさんが命に関わるの?」
何故かキレ気味に言い放った。
そうなの、ママの命のあり方に関わるの!!
と答えたけど、聞くでもなくどこかへ行ってしまった。コワい二年生。
でも、なんというか…
私も、何もかもが楽しい。
ダダ洩れの幸せ空間を、ありがとう!