2019.1.9 東京国際フォーラム ASKA premium ensemble consert -higher ground-

(この記事は、現在公演中のツアー演目についての記述を含みます)




1月9日。今日はライブの日だー。

早朝、洗面所で身支度をする傍ら、スマホで音楽を聴くことにする。ASKAさんの曲をシャッフル再生したら、最初にかかったのは「僕はMusic」だった。

この曲大好きだな、何度聴いてもわくわくする。4つ打ちビートがたまらない。ライブで聴きたいなぁ。隣にはどうしてもCHAGEちゃんが思い浮かんでしまうのだけれど。

次の曲。そうだ、あれが聴きたい。
「Be free」をかけた。
この曲は本当に…名曲だと思う。
前回のツアーでは披露されなかったけれど、今回はどうだろうか。


そんなことを考えながら、支度をしてパンを頬張り、子供を保育園に預けて会社に向かった。

16時00分に仕事を終わらせ、16時01分に、「お先に失礼しまーすうふふふ」てな感じで国際フォーラムに直行。

夫は会社を早退して保育園に子供を迎えに行ってくれた。私はASKAさんに会いに行くというのに!ありがとう夫。

発熱ASKAさんの体調は万全なのだろうか、心配しながらも、会場に近付くにつれてライブへの期待が高まって来る。


会場に到着した頃、思いがけず連絡を頂いた。
以前、このブログを通じて出会ったhiroさん。今日のライブにいらっしゃると言う。

ぜひお会いしましょうということになって、会場近くで再会した。

一昨年の12月、初めて国際フォーラムでお会いしたhiroさんは、とても素敵な女性で、私を温かく受け入れてくださった。ブログを読んで頂けているだけでもありがたいのに、こんなご縁に心から感謝した。

hiroさんと暫しASKAさんの話に花を咲かせた。夏には北海道のライブに行かれ、剣道の試合も観に行き、福岡の写真展ではなんと生ASKAさんにお会いされたという話を聞いて、テンションが上がる。


会場に入り、開演を待つ。
今日も男の人が本当にたくさん来ている。

定刻になり会場の照明が落ちる。いよいよだ。

まずはストリングスの方達が登場。
そしてASKAさんバンドに続き、ASKAさんがステージに現れる。

この日は黒のスーツに、ナロータイをゆるっと着けたスタイル。

何から始まるのかしら、わくわく。

すると「ナントカナントカ~ヨウコソ~」というエフェクトがかかったコーラス。
え、なになによくわからなかった!でもこれはきっとELO的なあれね!


一曲目。このイントロはなんだろう。

なんと、「僕はMusic」だー!
今朝私が一日の始まりに聴いた曲がオープニングだったとは、嬉しい。

この曲を聴くとやはり思い出すのは、慶応大学の文化祭。あれは2004年、15年も前なのか。懐かしいなぁ。

あの頃の私にとってこの曲は、キャッチーなサウンドを不思議な言葉で歌っている曲、という印象だった。

でも後になって聴いているうちに、この曲は私に、"Everything and anything is all right."というメッセージをくれる曲になった。なんだって、全部ありなんだ。

昨日のまちがいも今日のAllright。
だって僕はMusic!響きあえるって素晴らしい。

生の言葉ではなかなか伝わらないことも、歌にすると伝わってしまうのってなんでだろうな。


「またせたね~!」の一言と共に、「Hello」のイントロ。ストリングスが引き立って素敵。

天気予報の恋人」を終えて、ASKAさんがこう切り出す。

「色々ハラハラさせてすみません。知恵熱じゃないんですけど…ずーっと寝っぱなしで外に出ていなくて」

本当、今日をこうして無事に迎えられて良かった。


「Fellows」
いいね〜、となんだか妙に納得しながら聴いた。
今のASKAさんにとてもしっくりくる曲だと思う。


「修羅を行く」
You Tubeではちらっと聴いたことがあるけれど、これがその曲かと新鮮な気持ちで聴く。何を歌っているのか興味津々。


「しゃぼん」
今日の声はやっぱり本調子ではないのかなぁと始めは思っていたのだけれど、この辺りからASKAさんの声が急速に出てきておおぉ~と思った。

この曲、アルバムが出た当初はあまり聴きたい曲ではなかった。生々しくて、ダイレクトすぎて、目を背けたくなる感じがしてしまったから。

でも時を経るごとに、この曲から伝わるものを自然に受け止められるようになった。

言葉にしてしまうと失われるものがあって、口にしなくても伝わる思いがある。

伝わる時、心には何が起きているのだろう。


「ソロアーティストで活動を始めて、最初に出したシングルはMY Mr.LONELY HEARTだった。新選組のテーマ曲として依頼されたので、それならば日本的なメロディの曲を作ろうと最初は思っていたけれど、あえて違う方向にした。その後、前も言ったけど…この曲を作って、これが売れたんだよねぇ」

そんな前振りの後に流れたイントロは、「はじまりはいつも雨」。

40年分のありったけだものね。こうやって聴くと、あの頃を思い出す。あぁ懐かしい。

私は小学生で、ビデオテープでこの曲のMVを何度も観たんだったな。公衆電話で電話するASKAさん。


次の曲は、「good time」だ。

やっとやっと聴けたー。もうめちゃくちゃ嬉しい。

復帰後のSymphonicできっとやるはずと思っていたけれど聴けなくて、前回のツアーでも聴けなくて、ファンが選ぶベストにもASKAさんが選ぶベストにも入っていなくて、私は結構さみしく思っていたのだけれど、やっと聴けた。

この曲についてASKAさんは、My Game is ASKAツアーのパンフレットで、「この曲が支持されないようなら僕は歌えない。そうまで思える楽曲。この曲は自分の喜びのために歌ってる」と語っていた。

恋人とのワンシーンという小さな世界を歌いながら、視点の変化と時間の往来が壮大さを生み出していて、聴きながら幸せが身体中に広がっていく。

この曲の魅力を私はずっとずっと考えているのだけれど、結局今も答えが出ていない。

男女の愛を歌うラブソングだけれど、それを超越した普遍性を感じるのはなぜだろう。

人にはなぜ表現したいという希求があるのだろう。
表現する喜びってなんだろう。喜びの先にあるものって。

そういうことを、いつまでも考えていたくなる曲。ASKAさんに聞いてみたい。

余白のある音楽って素晴らしい。
喜びを共有できる幸せに、ありがとう。


余韻に浸りながら次の曲、「帰宅」へ。
ASKAさんがギターを持って歌う。

思い出すのはやっぱり、WALKツアー。

あのツアーでこの曲が生まれたエピソードを聞いて以来、私の中でのこの曲の佇まいが一気に変わった。

コンサートの動員は毎回すごいけれど、CDが全く売れない。「もうここまでか」と思った明け方の帰り道に、思わず車を停めて書き留めたという言葉。

この曲を聴くと、目の目にさっと立ち上がってくる情景がある。

その景色はきっと聴く人それぞれで違うのだろうけれど、そこから湧き上がる切なさややりきれなさという感情は、きっとどこかASKAさんのそれとリンクするのだと思う。

good timeと帰宅の立て続けにこの2曲が来て、聴けたこと自体に感動するあまり茫然としてしまい、気付いたら終わっていた。

私はどうも、共鳴できる状態になるのに時間がかかるらしい。まだ次の機会があって良かった。


続いて、「RED HILL」。
相変わらずかっこいいよね、この曲!
ちょっと、CHAGEちゃーん。って呼んでみたくなったけれど。


「歌になりたい」
幸せな曲が始まったと思ってしばらく目を閉じて聴いていたら、なんだかキラキラした光を感じて、はっと会場を見渡すと、みんながスマホのライトを揺らしていた。

そうだった~と私も慌てて参加する。会場を見渡すと、みんな素敵な笑顔で、温かな気持ちが会場に溢れていた。こういうのっていいな。

この歌について、何かを語れるところにまだ私は来ていない。

どこかにたどり着けるかもしれないし、そうでないかもしれない。

でもそういうのを持ち続けられるのって、とても幸せなことだと思う。

長い拍手で前半終了。

ASKAさん、「きれいだったよ、ありがとう」


ところで今回のストリングスは全員女性だった。オペラグラスで見ていたら、みんなそろいに揃って綺麗な女性で、どうしてなんだろう?って気になっていたのだけど、ASKAさんのオーディションにより「ルックスで選んだ」そう。なるほどね!

「だって俺は美人評論家だから」と言うASKAさんに、観客の男性が、「わかってるよー!」と叫んでいた。


休憩中、トイレから戻ると、ASKAさんが観客からの質問に答えていた。

ASKAさんの育毛剤を教えてー!」と叫ぶ男性。スタッフが来て「時間です」と言われてしまったが、「ブログで教えるからチェックしておくように」とASKAさん。


さて後半の一曲目は「you & me」。
SHUUBIさんを観るのってMy Game is ASKA以来なはず。実に14年ぶりだ。

久々にお目にかかるSHUUBIさんは相変わらず可愛らしくて、ステージに華を添えていた。

とても緊張している様子に見えたけれど、二人向き合ってデュエットが始まると、あのツアーを思い出して、思わず涙が出てきた。

My Game is ASKA、本当にいいツアーだったなぁ。
こうしてまた一緒の空間を共有できたことに、感謝。


しっとり終えて…次の曲はなんと「HEART」。
会場から「きゃあっ!!」という歓声があがった。

私、この曲を生で聴いたことあるのだろうか?もはや思い出せない。

ASKAさんがマイクスタンドをくるくる回してるー!CHAGEちゃんどこー!

すっかりあの時代にタイムトリップした気分になってしまった。


「新曲だよ」と言って始まった次の曲。
めちゃくちゃカッコイイ。「百花繚乱」と歌っていたので、ブログで紹介していた曲と理解。

何を歌っているのかしら、早くもう一度聴いてみたい。


ドラマチックなストリングスのイントロが奏でたのは、ツアータイトルの「higher ground」。

あれ、この曲のイントロってもともとストリングスだったっけ?と思ってしまったほどマッチしていた。美しさの中に緊張感があって。

この曲の意味するところを私は理解しきれていないのだけれど、ツアータイトルに込めたコンセプトはなんなのだろう。


「青春の鼓動」
イントロでまたしても「きゃあーっ!!」という歓声が上がる。

あんまりライブで聴いたことがない気がするけれど、盛り上がる曲なのね。

観客がASKAさんに続いて一緒に歌う。そういう曲なのかー。


「今が一番いい」
この曲の私の楽しみ方は、思い切りの笑顔で万歳!する会場を見渡すこと。

今日はドレミファソラシドの音階を奏でるストリングスにも注目。華やかでいいな。

そういえばこの曲を当初アルバムで聴いた時、Mrs.GREEN APPLEの「StaRt」を思い出していた。
この曲もサビがドレミファソラシド。

「やっとこさ幕開けだ / スタートラインに立った今」と歌う若者と、
「今が一番いい」と歌う還暦のASKAさん。素敵にリンクしてる。

世代を超えて、音楽で共有できる何かってあるんだなぁって思った。


観客の熱気が最高潮に達したところで、ASKAさんが神妙な面持ちで話し出した。
「この曲は絶対やりたいと思って入れることにしたんだ。Be freeっていう曲なんだ」

会場がシーンとした。みんな静まり返って、動かない。

きっとこの曲にはそれぞれの、色々な想いが交錯しているのだと思う。

「見せてはいけない部分に触れられたことで生まれた楽曲」と復帰後のインタビューでASKAさんは語っていた。

この曲は私にとって、事件後ずっと、聴けないそして聴きたくない曲だった。

その後Too Many Peopleが発売されて、覚悟を決めて聴いたら、それはもう泣けて仕方なかった。

その時のそれはきっと、事件の色々が直接的に反映した感情からだったと思う。

でも時が経ってこの曲を聴いてみると、なんて美しい曲なのだろうと思う。

今でも何気なく聴いていて、ふと涙してしまうことがある。

それはあの時の出来事を思い出して、ということではない。

出来事のディテールはもうすべて切り離されて、その上でこの曲の素晴らしさは、表現したいことをぎりぎりのところで、極限の状態まで表現しきったところにあるのだと思う。

伝えきれない想いがあって、のぼりつめるメロディと共にそれが伝わってきて、こらえきれずにあふれてしまう。そこにどうしようもなく共鳴してしまって泣けてしまう。

あの時の状況で、ここまで芸術作品として創り上げてしまうって、とてつもない。

この曲をステージで歌うことはきっと、勇気のいることだったのではとないかと思う。

改めてライブでのBe freeを振り返って、私にとってこれは「幸せとは解放」のプロセスに思えた。

この歌が聴けて本当に良かった。気持ちの流れで言えば、もっと重み付けのあるところでどっぷり聴きたいと思ったくらいに。


本編ラストは「We Love Music」。
Musicに始まり、Musicに終わる。いいね最高!
新曲を聴けるって、幸せだなー。


— アンコール —

「一度きりの笑顔」をしっとりと歌い上げ、続くイントロは「PRIDE」。

あちこちで鼻をすする声が聞こえてくる。渾身の力を込めて歌うASKAさんの声が突き抜けている。

この時間が、終わらないでほしい。


そして最後。
流れてきたイントロは、まさかの、「BIG TREE 」。

えええーーーー!!
全く予想外だよー、なぜか「もうASKAさんに会えないかも」って思ってしまう位の驚きの選曲。

いやいやASKAさんはまだまだ歌い続けてくれる。
すぐに思い直して呼吸を整え歌を聴いた。

でもどうしても歌よりもステージの画が入ってきてしまう。ASKAさんがBIG TREEを歌っている?
その姿を最後に観たのはいつ?
1992年4月に国立代々木競技場で観た"BIG TREE"ツアーだよね、多分!

中学生の時、生まれて初めて行ったコンサート。
ここでこうして聴けるなんて、感無量だ…。


ライブ終了ー。

非常に驚きに満ちたライブでした。何度も今と昔を行ったり来たり。

音楽は時間の芸術というけれど、これほど身体に直接働きかける芸術ってない。

鼓膜に、身体中の細胞に、直接音が伝わって共鳴する。ライブって最高だー。



さて、ライブが終わり数日経ってみて思ったこと。

CHAGE&ASKAが活動休止し、ASKAさんがソロアーティストとして活動していくことはごく自然に受け入れられたし、脱退した時も、特別な驚きがあったわけではなかった。

ASKAさんがいちミュージシャンとしてやりたいことを追及するのが一番だと思っていたから、CHAGE&ASKAに戻ってほしい思ったことは、これまで一度もなかった。

けれどなんなんだろう、日が経つごとに強まる、
「あれ、なんでCHAGEちゃんいなかったの?」的なこの感覚。

共演するはずだったけれど、急遽来られなくて今日はいなかったんだよね位の感じがしてしまう。

あのステージにCHAGEさんがすっと出てきてASKAさんの隣に並んでも、全然違和感がなかった気がする。

なんでだろう、不思議。
でもそんなことだって、あるかもしれない。


まずはまた明日渋谷で!
何を感じられるか楽しみにしておこう。



♪Set List♪

1.僕はMusic
2.Hello
3.天気予報の恋人
4.Fellows
5.修羅を行く
6.しゃぼん
7.はじまりはいつも雨
8.good time
9.帰宅
10.RED HILL
11.歌になりたい

— 休憩—

12.you & me
13.HEART
14.百花繚乱
15.higher ground
16.青春の鼓動
17.今がいちばんいい
18.Be free
19.We Love Music

アンコール
20.一度きりの笑顔
21.PRIDE
22.BIG TREE